ASUSTOR NASをメールサーバとして使うときの注意点:仕事で使うNAS 第4回(3/3 ページ)
ビジネス向けNAS講座の連載第4回では、ASUSTOR NASにApp Centralで機能を追加し、メールサーバーとして活用するための具体的な方法を解説する。
メールサーバの設定/受信
次にメールサーバの準備に取りかかろう。ASUSTOR NASでは「App Central」から機能追加を行う。AppCentralから「Mail-Server」をインストールするとADMデスクトップ上にMail-Serverのアイコンが作成される。
まずは受信の設定から行っていく。メールソフトで受信というと、サーバに届いたメールをメールソフトに取り込むことを指すが、メールサーバでの受信はサーバがメールを受け取ることを指す。
Mail-Serverのアイコンをクリックし、SMTPタブの「ドメイン名」のところに、DDNSサービスから取得したドメインを指定し、メールサーバが受け取るべきドメインが何かを設定する。ドメイン名フィールドの後ろにある「+」をクリックして複数のドメインを指定することもできる。指定が終わったら「適用」をクリックして変更を反映する。
これでASUSTOR NASとしてはメールの受信が可能になった。だが、通常の環境では外部からASUSTOR NASにSMTPで接続することができない。そのため、ルータの設定を変更し、インターネットからSMTPで接続しにきたときにASUSTOR NASに接続するようにする。ルータがUPnPに対応している場合はASUSTOR NASから設定を行うと簡単だ。
「設定」から「簡単アクセス」を選択し、EZ-Routerタブを開く。EZ-Routerセットアップから「アクティブ」をクリック、ダイアログの「スタート」ボタンをクリックしてUPnPを有効化する。
次にポートフォワーディングの「追加」をクリックし、メールサーバのサービスをASUSTOR NASに転送するよう設定する。サービスは組み込みサービスにチェックが入った状態で「app#Mail-Server」となっているものを有効にすればよい。サービスは複数あるので、必要に応じて有効化する。それぞれのポートに対応するサービスは次の通りだ。
ポートと対応サービス
ポート | サービス |
---|---|
25/TCP | SMTP。外部からメールを受信する際に使用する |
110/TCP | POP3。メールソフトがサーバから受信済みメールを読み出す際に使用する。 |
143/TCP | IMAP。メールソフトからはPOP3と同様に扱うことができるが、受信済みメールもサーバ上に置いたまま管理する |
465/TCP | SMTP over SSL。SMTPをSSLで暗号化した場合に使用する。 |
993/TCP | IMAPS(IMAP over SSL)。IMAPをSSLで暗号化した場合に使用する。 |
995/TCP | POP3S(POP3 over SSL)。POP3をSSLで暗号化した場合に使用する。 |
設定が完了したらGmailなどを使って外部からメールを送信してみる。Mail-Serverの概要タブで「受信済み」の値が増加し、メールログタブにメールが表示されたら成功だ。
次にメールソフトで受信ができるようにする。メールソフトからメールを読み取るプロトコルにはIMAPとPOP3、それに加えてそれぞれをSSL/TLSで暗号化したIMAPS(IMAP over SSL)とPOP3S(POP3 over SSL)が利用できる。
POP3は古くからあるプロトコルで、メールサーバから受信メールを取得した後、サーバからはメールを削除してしまうことを前提とした運用を行う。メールの管理ではメールソフト側にフォルダを作成する。
一方、IMAPはメールサーバ上でメールを管理する。フォルダを作成するのもメールサーバ側であり、メールソフト上では処理の高速化やオフライン作業の実現のため、それらのコピーが保持されることになる。
現在のメールソフトは両方に対応したものが多いので、メールをサーバに残すか、残さないかでいずれのプロトコルを利用するか選択すればよい。また、暗号化をしない場合、パスワードや通信本文が平文のまま流れてしまうので注意してほしい。
なお、一般家庭用のISPサービスを利用している場合にはOP25B(Outbound Port 25 Block)によって送信がブロックされる場合がある。その際には送信のみ、ISPのメールサーバを指定する。
次回も引き続きビジネス向けアプリケーションを紹介していこう。
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