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2020.08.24

ラーメン官僚にきいた「竹岡式ラーメン」おすすめ5選!醤油の旨味が誘うノスタルジー

千葉の名物ラーメンのひとつ、「竹岡式ラーメン」を食べるならココ!ラーメンに精通する“ラーメン官僚”こと田中一明さんに、「竹岡式ラーメン」とはどんなラーメンなのか?をインタビュー!さらに、「竹岡式」と呼ばれるラーメンを提供する中から、美味しさお墨付きのオススメ店を厳選して教えてもらいました。

記事配信:じゃらんニュース

竹岡式ラーメンとは?

竹岡式ラーメン

今、首都圏のラーメンシーンは、タレではなく出汁(ダシ)から沁み出すうま味をフィーチャーした、いわゆる「ダシ系ラーメン」が全盛期を迎えている

鶏・豚等の動物系素材、煮干し・貝等の魚介素材からじっくりと出汁を採り、複雑玄妙な味わいを演出する「ダシ系ラーメン」。

これらのラーメンの中には、確かに、独創的で魅力あふれるものが数多く存在する。それは厳然とした事実であるが、その一方で、タレのうま味をストレートに打ち出した素朴な1杯の価値も、改めて見直されつつある

端的に申し上げれば、粋を凝らした、言い方を変えれば畏まり過ぎた「ダシ系ラーメン」へのアンチテーゼとして、昔ながらのオーソドックスなラーメンが着実に脚光を浴びてきている。

そんなオーソドックスなラーメンの代表格とでも言うべき存在が、今回、ご紹介する「竹岡式ラーメン」だ。

千葉県房総半島の内房エリアで生まれた「竹岡式ラーメン」は、富津市の港町・竹岡の『梅乃家』を祖とするご当地ラーメンであるとするのが通説。(『梅乃家』の近隣にある『鈴屋』の方が創業年が古く、そちらを祖とする説もある。)

『梅乃家』のラーメンは、チャーシューのうま味が溶け込んだ醤油ダレを麺茹でに用いた湯で割っただけのスープに乾麺を合わせ(通常、ラーメン店で使用される麺は生麺)、醤油で煮込まれたチャーシュー、刻みタマネギ等のトッピングを載せたノスタルジックな1杯。(※)

漆黒に近い色合いを呈するスープは、一度目にしたら記憶に焼き付いて離れないほど印象的。また、このラーメンの味を決定づけるのは、上記のシンプルな製法からも推測できるとおり、醤油の味の良し悪しに尽きるため、特に、醤油のクオリティの高さが尋常ではないのが、大きな特長だ。

今回の記事では、そんな『梅乃家』を源流とする「竹岡式」と呼ばれるラーメンを提供する店舗の中から、特にオススメに値する実力店を選りすぐってご紹介する。興味があれば是非、一度足を運んでみていただきたい。

(※)厳密には、『梅乃家』以外の「竹岡式ラーメン」を提供する店舗は、乾麺でなく生麺を用いたり、豚骨、鶏ガラ、香味野菜、昆布等の素材から出汁を採るなど、何らかのアレンジを施している。

ラーメン つち家【穴川】

千葉市エリアの絶品ラーメン!房総に向かう前に、まずはここから

ラーメン つち家

店舗の場所は、千葉都市モノレール穴川駅から徒歩10分程度(千葉市稲毛区)。

一見、なんの変哲もないラーメン店に見える外観。だが、その外観に惑わされることなかれ。『ラーメン つち家』は、優良店がひしめく稲毛区の中でも指折りの有名店。店内は、常に満席という盛況ぶりを誇る。

基本メニューは、「らーめん」。
スープをひと啜りした瞬間、身体がとろけるようなコク深さを誇示する醤油ダレに、意識を持っていかれるのが、まざまざと実感できる。適度なしょっぱさが絶え間なく快楽中枢を刺激し続ける、魅惑的な味わい。

スープのうま味の厚みや、スープを存分に吸い込み飴色に変色した麺のクオリティの高さなど、本場・内房で提供される竹岡式の平均値すら軽々と凌駕する完成度の高い1杯であり、思わず、「この店の店主は一体何者だ!?」と、感嘆の声を漏らさずにはいられなかった。

気がつけば、スープを一滴残らず飲み干し、丼は空っぽに。ここまで高水準ながらも、価格帯はリーズナブル。是非、一度召し上がっていただきたい。

ラーメン つち家
■ラーメン つち家
[住所]千葉県千葉市稲毛区園生町569-1
[営業時間]11時~24時 ※火曜は15時まで
[定休日]なし

らーめん とも【長浦】

別皿のカエシでスープの濃度をカスタマイズ!自分好みの味を探して

らーめん とも

ロケーションは、JR長浦駅から徒歩5分程度の好立地。

ご紹介する『らーめん とも』は、袖ケ浦市長浦を代表するラーメン店のひとつ。私が足を運んだときも、老若男女を問わない、様々な層のお客さんがひっきりなしに入店。地元客から絶大な支持を得ているサマが、まざまざと垣間見えた。

同店の最大の特徴は、ラーメンの丼とともに、チャーシューダレが入った小皿が付いてくること。

このタレを好みに応じてスープに注ぎ込むことによって、スープの濃度を自在にカスタマイズすることができるのだ。ベースのスープは、鶏ガラ等の動物系素材から出汁を採ったじんわり系。

甘辛い醤油がはんなりと沁み込んだ麺の風味、確かな肉感を伴うチャーシューのうま味も、この1杯の味わいに華を添える。

自分好みの味のチューニングを探求したい人にとっては、ぴったりな1軒だろう。

らーめん とも
■らーめん とも
[住所]千葉県袖ヶ浦市長浦駅前3-3-1
[営業時間]11時~20時
[定休日]水曜日

寿ラーメン【袖ヶ浦】

上質な甘みが、恍惚の境地へと誘う。醤油が沁みたワンタンも美味

寿ラーメン

緑色の屋根に白地で大きく描かれた屋号。最寄りのJR袖ヶ浦駅からでも約1kmの距離があり、公共交通機関でアクセスするには少々骨が折れるが、『寿ラーメン』は、万難を排してでも訪問する価値のある1軒だ。

同店における私のオススメは、「ワンタンメン」。

甘辛い醤油ダレを縦横無尽に駆使して創られたスープは、他店のそれと較べ、相対的に甘みをストレートに押し出した衒いのない味わい。その分、しょっぱさが適度な塩梅に抑えられ、食べ手を問わない仕上がりとなっている。

スープに浮かぶワンタンも、絶品。醤油のうま味が十二分に沁み込んだ皮を噛じると、中から餡の肉汁がジュワッとほとばしる。

溶け込むにつれ、スープを徐々に柔らかな味わいへと変える「すりおろしタマネギ」も、同店ならでのトッピング。まさに至れり尽くせりの1杯だ。

寿ラーメン
■寿ラーメン
[住所]千葉県袖ケ浦市坂戸市場1439-8
[営業時間]11時~17時
[定休日]月曜日

ら~めん 日可里【木更津】

峠のドライブイン?いや、こちらは竹岡式ラーメンの名店だ!

ら~めん 日可里

千葉県道23号線を木更津の市街地から房総半島の内陸方面へと車でドンドン進むと、やがて「矢那のらーめん」という巨大な看板が視界へと飛び込んでくる。これが、『ら~めん 日可里』だ。

ロケーションは、各種企業の研究機関が集積する「かずさアカデミアパーク」からほど近い、峠のような場所。よく見ると、屋号にも「高倉のドライブイン」の文字が明記されている。

予備知識がなければつい、「この店のラーメンは大丈夫なんだろうか」と警戒してしまいそうな佇まいであるが、そんな心配は杞憂。提供されるラーメンの味は、紛れもなく「竹岡式ラーメン」の中でも上位水準に属するものだ。

カレーライス、チャーシュー丼、つまみ類など、サイドメニューのバリエーションも豊富だが、まず召し上がっていただきたいのは、もちろん「ら~めん」。

スープは、古典的な竹岡式ラーメンとは異なり、出汁の息づかいがしっかりと感じられる複層的な味わい。ファーストアタックは、カエシのどっしりと重厚なうま味。その後間髪を入れず、出汁に含まれる滋味が、じわりと味覚中枢に沁み込んでくる。

このスープに合わせる縮れ麺は、適度な弾力が舌を心地良く刺激。飾り気のない木訥な食感も、食べ手のノスタルジーを惹起する。

ら~めん 日可里
■ら~めん 日可里
[住所]千葉県木更津市矢那1417-1
[営業時間]11時~19時30分 ※日曜日は15時まで
[定休日]火曜日、第1水曜日

ラーメン ワンちゃん【木更津】

地元に根付く、実力店。甘み豊かなカエシが、強烈な印象を刻印

ラーメン ワンちゃん

最後にご紹介するのは、店舗の駐車場が常にお客さんの車であふれかえっていることで有名な『ラーメン ワンちゃん』。

同店は、創業20余年に及ぶ木更津エリアの実力店。創業半世紀級の老舗が当たり前に存在する竹岡式ラーメン提供店の中では、まだまだ中堅クラスといったところかも知れないが、ラーメン店の毀誉褒貶が激しい市街地で、20数年にわたり多くの食べ手から支持され続けてきた実力は、伊達ではない。

基本メニューは、メニューリストの筆頭に掲げられた「ラーメン」。

褐色のスープを麺肌に湛え、艶やかに光り輝く縮れ麺は、啜ると、スープを過不足なく持ち上げ口元へと運び込む、「このスープにして、この麺あり」の逸品。スープに含まれるカエシは、頬が落ちるような豊潤な甘みを持ち合わせ、食べ手を瞬時に惹き付ける牽引力あり。

過度な主張が抑えられ、竹岡式初心者にとっても食べやすい1杯となっていることも、特筆すべき事項。

回転は比較的早く、さほど待つことなく待望の1杯にありつくことができる。機会を見つけて是非、お店へと飛び込んでみてもらいたい。

ラーメン ワンちゃん
■ラーメン ワンちゃん
[住所]千葉県木更津市貝渕2-9-5
[営業時間]11時~23時 ※日曜日・祝日は21時まで
[定休日]木曜日、第3水曜日

※この記事は2020年8月時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性がありますので、事前に公式ホームページなどで最新の情報をご確認ください。
※お出かけの際は、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、マスクの着用、手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスの徹底などにご協力ください。
※掲載されている情報や写真については取材時点のものであり最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。

田中 一明(たなか かずあき)  田中 一明(たなか かずあき)

通称「ラーメン官僚」。ラーメン食べ歩き歴20年以上、実食杯数は11,000杯以上に及ぶ。直近の数年間は、毎年700杯~800杯のラーメンをコンスタントに実食。2016年現在、日本でラーメンシーンの「今」を最もよく知る人物。

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