性能規定型設計法

 従来,コンクリート分野における設計方法は,仕様規定型設計法(以下,仕様規定型とする)であるが,現在,性能規定型設計法(以下,性能規定型とする)に変えようとする動きが土木学会コンクリート委員会を中心にして盛んに行われている。昨年の1月には,コンクリート標準示方書の施工編が性能規定型として発刊され,示方書全体としては,2005年を目途に性能規定型に改訂される計画である。性能規定型とは,材料・部材・構造物・施設などに求められる性能を作り手に明示することを意味しており,仕様規定型に相対する言葉として使われている。一方,仕様規定型とは,材料・部材・構造物・施設などを造る際に要求する,特定の形状,構造,寸法,成分,精度,製造法,試験方法などの細部までを明示し,規定することである。仕様規定型では,結果に至るプロセスまでも規定し,完成するものを特定しようとするのに対して,性能規定型は,結果に求める性能のみを明示し,完成物を特定しないのである。例えば,ある強度とスランプ(ここでは仮にこれらを要求性能とする)を有するコンクリートを製造するのに,仕様規定型では,JIS規格に示されるように使用材料,配合設計法,ミキサや練混ぜ方法などまでを規定するのに対して,性能規定型では,強度とスランプのみを規定し,その製造方法を問わないことになり,どんな材料,練混ぜ方法でも良いことになる。したがって,性能規定型のメリットとしては,これまでの規格や基準に適合しないため利用が困難である新材料,新しい構造形式・施工法の導入がし易くなり,設計の自由度が増すことによるコストダウンの可能性が高まることが挙げられる。

参 考 文 献

1)日本コンクリート工学協会.平成12年度コンクリート技士研修テキスト.
   



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