9.11テロ ドキュメント

ペンタゴンに旅客機が突入

 2001年9月11日午前8時54分、ワシントンDC郊外のダレス国際空港からロサンゼルスに向けて飛行中のアメリカン航空77便は、ウエストバージニア州とオハイオ州の州境付近で突然コースを外れ、機首を南へ向けた。午前8時56分、同機のトランスポンダー(管制システムが発信する電波に航空機が応答信号を返し、自機の位置を知らせる装置)がオフにされ、さらに航空管制レーダーからも機影が消える。
 午前9時8分、米連邦航空局(FAA)インディアナポリス航空交通管制センターは、同機が墜落した可能性があると判断し、バージニア州のラングレー空軍基地に捜索隊の派遣を要請する。この段階で、同センターは複数のハイジャック事件が発生し、そのうち2機がニューヨークのWTCに突っ込んだことをまったく知らなかった。
 この間にアメリカン航空77便は針路を東に向け、本来のコースからUターンする形でウエストバージニア州上空をワシントンDC方向に飛行した。インディアナポリス航空交通管制センターは同機の針路変更に気付かず、予定コース上をレーダーで捜索したため、機影をとらえることはできなかった。
 午前9時16分から26分の間に、乗客の1人であるバーバラ・オルソンさんは夫のテッド・オルソン司法省訟務長官に電話をかけ、同機がハイジャックされたこと、北東に向かって飛行していること、現在は住宅地上空であることなどを伝える。訟務長官は妻に他に2機がハイジャックされ、WTCに突入した事実を教えたが、電話はそこで切れた。
 午前9時29分、同機はワシントンDCの国防総省ビル(ペンタゴン)の西約38マイル、高度約7000フィートの地点に到達し、自動操縦から手動に切り替えられる。午前9時34分、同機はペンタゴンの南西5マイルで330度の旋回を行うと、一気に高度2200フィートまで降下、機首をワシントンDCの中心部に向ける。
 午前9時37分46秒、同機は時速約540マイルでペンタゴンに激突、搭乗者全員が即死した。

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