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【通信】「定額制へ提携発表…ソフトバンク、イー・モバイル」

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 ソフトバンクモバイルとイー・モバイルは4日、パソコンに専用端末を差し込んでインターネットなどを利用する高速の無線データ通信サービスで提携することで合意したと正式発表した。
 ソフトバンクはイー・モバイルの回線を借りて、3月上旬に一定額を支払えば使い放題の定額制サービスに乗り出し、新規顧客の獲得を狙う。
両社の提携は、既存の携帯電話会社から回線を借り、サービスを提供する「MVNO(仮想移動体通信事業者)」を、携帯電話会社同士で実現する初のケース。ソフトバンクは定額制サービスで攻勢をかけ、競合他社に対抗する。
(出所)YOMIURI ONLINE(2009年2月5日)

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≪評≫山浦康史〔研究員〕

 既存の携帯電話会社(以下、携帯キャリア)による初のMVNOであり、それが意味するところを考えたい。

 2002年6月に総務省によって策定された「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」によると、MVNOは「移動通信分野において更なる競争促進を図り、一層多様かつ低廉なサービスの提供による利用者利益の実現を図るため、また、電波の公平かつ能率的な利用を確保する」ことを目的としている。

 しかし、携帯キャリア同士でのMVNOが成立すれば、携帯キャリアによる新たな設備投資が抑制され、移動体通信の基盤の拡大につながらず、電波使用の免許を受けたキャリアはそれを有効活用しなければならないという原則(電波の公平かつ能率的な利用)に反する上、移動体通信に参入する事業者の多様化(競争促進)も抑制されてしまう可能性がある。このため、社団法人テレコムサービス協会のMVNO協議会は携帯キャリア同士でのMVNOに反対する意見を表明してきた。

 しかし総務省は携帯キャリア同士でのMVNOを禁止しているわけではないため、ホワイトプランの無料通話やiPhoneのパケットによって帯域が逼迫しているソフトバンクモバイルが、PCの高速データ通信サービスを提供する場合には、当然考えられる選択肢であったと推測する。

 ソフトバンクは今後、ネットワークより上位レイヤーのサービスを充実させることによって収益を拡大させようとしており、規制が行われない限りは携帯キャリア間のMVNOを拡大していくのではないか。

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