2012 年 33 巻 p. 67-78
教師は子どもの美術表現に手を加えることに戸惑いを覚えることがある。このことについて本稿では,著作権法・同一性保持権の法解釈である「翻案許容説」と「厳格説」のそれぞれの立場から検討した。その結果,子どもが美術表現するという意味を「子どもが美術表現価値を独自に構築していく活動」として位置づけるのではなく, 「子どもが教師や他者に内在する価値を取り込み,自分自身の表現力を高めていく活動」と確信できれば,教師の支援を積極的に受け入れることができ,著作者人格権の課題を乗り越えられることを明らかにした。