応用生態工学
Online ISSN : 1882-5974
Print ISSN : 1344-3755
ISSN-L : 1344-3755
事例研究
実験河川におけるエレクトリックショッカーによる6魚種の捕獲効率
佐川 志朗萱場 祐一皆川 朋子河口 洋一
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 8 巻 2 号 p. 193-199

詳細
抄録

本研究は,水面幅約3mの直線河道を呈する実験河川において,24調査区における努力量を統一させた魚類捕獲調査を行い,エレクトリックショッカーの捕獲効率を算出し,各種に対するショッカーの効用および効果的な魚類捕獲の方法について考察することを目的とした.調査の結果,底生魚および遊泳魚ともに捕獲効率が高い種および低い種が存在し,前者としては,アユ,ドジョウおよびシマドジョウ属が,後者としては,オイカワ,タモロコおよびヨシノボリ属が該当した.オイカワおよびタモロコの捕獲効率が低かった原因としては,第1年級群である40mm以下の小型個体の発見率が小さかったことが示唆された.また,ヨシノボリ属については,微生息場所である河床間隙中で感電した個体が発見できなかったために,第1,第2年級群を含めた全サイズ区分にわたって捕獲効率が低かったことが考えられた.ヨシノボリ属やコイ科魚類の稚仔魚が分布する河川でショッカーを用いて捕獲を行う際には,たも網を用いて感電個体をすくい捕るのと併せて,あらかじめ通電する箇所の下流に目の細かいさで網を設置しておき,すくい捕りのすぐ後に,足で石を退かせながら水をさで網に押し入れるような捕獲方法を併用することが望ましい.今後は,本邦産魚類の各種に対して,様々な水質条件,ショッカー設定下での捕獲効率を明らかにするとともに,各魚類の成長段階ごとにショッカーの影響程度を把握し,効果的で魚類個体群への影響を最小限とする魚類捕獲手法の検討を行う必要がある.

著者関連情報
© 2006 応用生態工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top