絵手紙作家の浅田美知子さん(64)=横浜市港北区=が、大崎ウエストギャラリー(東京都品川区)で開催中の「絵手紙フェスティバル2013」で、樹木を描いた大きな作品を発表して話題を呼んでいる。仏像を描いていたが東日本大震災で「心を落ち着かせてくれたのが木々に咲く花だった」と、作風が大きく変化。絵手紙の枠にとらわれない作品作りに取り組んでいる。22日まで。入場無料。
公園、寺社などの名木の他、街路樹に心引かれるという。作品はいずれも長さが1メートルを超えるが、歩道の端に座ったまま紙をずらしながら描き、2~3時間で完成させる。今回の展示も大作の河津桜やバラなど7点が並ぶ。
震災当日は、日本文化を紹介するイベントに参加するため、ハワイに滞在中だった。帰国後、現地のニュース番組で繰り返し流された津波の映像が「頭から離れず、気持ちがすごく落ち込んだ」と浅田さん。筆を執る気になれなかった。
ある日、近所の道路沿いに咲くヒカンザクラが目に入った。「こんなときにもきれいに咲いている」と初めて樹木に向き合った。描いているうちに心が静まり、落ち着いてきたという。以来、樹木が作品のテーマに。描きながら感じた言葉を絵の脇につづり、手紙を受け取る相手の顔を思い浮かべる。「大地に根差して生きている木々も仏と同じで、心に向き合うものだと思う」と話している。展覧会の問い合わせは同ギャラリー電話03(3490)4177。
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