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独特で力強い生命力 平塚市美術館「小倉遊亀展」

カルチャー | 神奈川新聞 | 2018年10月22日(月) 19:19

色彩豊かな作品が並ぶ会場=平塚市美術館
色彩豊かな作品が並ぶ会場=平塚市美術館

 長く北鎌倉に居住し、2000年に105歳で亡くなった日本画の巨匠、小倉遊亀(ゆき)の回顧展「小倉遊亀展」が、平塚市美術館(同市西八幡)で開催中だ。初期から晩年までの代表作約120点を、前後期に分けて展示。現代的で清新な作品には、たくましい生命力があふれている。

 奈良女子高等師範学校(現奈良女子大)で美術に目覚め、京都や名古屋で教師をしながら絵の勉強を続けた。横浜の捜真女学校に勤めていた25歳の頃、誰の紹介もなく大磯に住んでいた日本画家の安田靫彦(ゆきひこ)を訪ね、弟子入りを果たした。

 女性として初めて日本美術院同人となり、1954年に上村松園賞、55年に芸能選奨美術部門文部大臣賞、62年に日本芸術院賞を受賞、80年に文化勲章受章と華々しく活躍した。

 タイル張りの浴槽に屈折した水の表現が面白い戦前の代表作「浴女 その一」や、和服で足を組んで椅子に座る大胆な女性像を描き、フランスの画家マチスのモダンな描き方を日本画に取り入れた「娘」(前期展示)、母の後を無心でついていくおかっぱ頭の少女と犬を楽しげに描いた戦後の代表作「径(こみち)」など、見応えある作品が並ぶ。


小倉遊亀静物
小倉遊亀静物

 愛蔵した古九谷などの器と、その器と植物を描いた静物画も展示。師の静物画がすっとした繊細な描きぶりであるのに対し、盛り上がった器の文様や花器に入ったツバキの葉の厚ぼったさや照り方の表現は独特。遠近を無視したようなテーブルの切り取り方やデフォルメした器といったモダンで自由な表現も見られる。こうした独特な魅力を、靫彦は「北鎌倉の特産品」と呼んで絶賛したという。

 同館の勝山滋学芸員は「色彩が豊かで、うまく画面の中で調和している。見ていて楽しくなるような作品が多い」と話す。人物画も静物画も、力強い生命力を堪能できる。

 11月18日まで。月曜休館。10月30日から後期展示。一般900円、高校・大学生500円。11月10日午後2時から、同館の草薙奈津子館長による講演会「小倉遊亀の人と芸術」を行う。問い合わせは同館TEL0463(35)2111。

 
 

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