内容説明
「歴史の終焉」をむかえ、成熟社会(=終わりなき世界)で永遠に満たされない欲望を抱えて生きる我々。明日も明後日も、退屈な「今日」の繰り返しでしかない世界で、よき生をまっとうするため我々に残された最後の倫理こそ“絶望”である。フロイト=ラカンの精神分析理論、フーコーら現代思想の知見を使い、爛熟する資本主義世界の欲望構造を分析する長編文化政治評論。思想の力は“物欲”とどう向き合えるのか?“知”の世界における「堕落論」ともいうべき問題提起の書。
目次
第1章 我らの閉ざされた未来
第2章 資本主義に毒されていない「子ども」ではない我々に託すべき「絶望」
第3章 資本主義の性的分析
第4章 欲望と欲動の経済学
第5章 東電OLの堕落論
第6章 汝は汝の欲望に従って行動したか?
第7章 「人生の負け組」の二律背反
第8章 万人の不満足なしに個人の不満足はありえない
第9章 ポストモダンのうつ病患者
第10章 何かの終わりではなく何かの始まりとして
著者等紹介
清田友則[キヨタトモノリ]
1962年福岡県生まれ。上智大学文学部卒業。九州大学文学部、インディアナ大学英文学部、両修士課程を経て、カリフォルニア大学サンディエゴ校比較文学科博士課程修了。文学博士(Ph.D)。現在、名古屋芸術大学、美術学部教養部会議師
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