戻る


【参考資料】 


参考資料4

                産業医の倫理綱領

                     平成10年11月 健康開発科学研究会


序章 何故、産業医特有の倫理が必要か?


【倫理について】

 倫理(ethics)は、元来、ギリシャ語のエートス(ethos)という語に由来し、繰り
返しによって身につく習慣(habits)や慣習(customs)を意味する。すなわち、倫理
とは社会における人と人の関係を規定する原理・原則の総体のことをいう。しかし、国
家による強制力を伴う法律と異なり、倫理は人間の良心や徳を基盤とする習慣又は慣習
である。わかりやすくいえば、倫理とは「人間がより良く生きるための行為のあり方」
ということができる。ここではもっと実際的に、倫理とは「良心に基づく問題解決のた
めの積極的な行動指針」と定義した上で、産業保健の倫理綱領を作成した。 



【産業医と倫理】

 「医師ー患者関係」を基軸とする病院や診療所などの臨床の場と異なり、「産業の場
」*1において、職業病や作業関連疾患の発症を予防するために、作業環境管理、作業
管理、健康診断およびその事後措置を軸とする健康管理とその保持・増進に努めること
が主な産業医の職務内容である。また、衛生委員会等を通して経営陣や労働組合と定期
的な話合いの場をもったり、或いは行政機関と直接的に関与することも重要な職務の一
部となる。したがって、産業医は臨床医と同様、或いはそれ以上に社会人としてのセン
スを要求されることが多い。 
 ところが、この本来あるべき産業医業務に関して、実際には企業経営陣や従業員*2
が誤って認識している場合が決して少なくない。しかも、現行の産業医職務を規定した
労働安全衛生法では、従業員に対する安全衛生配慮義務は「事業者責任」を原則として
いるため、企業内の健康配慮義務に関する産業医の法的権限および責任の所在が不明確
なままになっている。さらに同法において、専門職である産業医としての中立性及び独
立性が十分保証されているとは言い難く、場合によっては、事業者*3に産業医が雇用
されている事実から、両者の関係が結果的に主従の雇用関係にならざるを得ないことも
ある。従って、産業医が会社や労働者の利害と医師としての良心との間にジレンマや葛
藤が生ずる場面が必然的に多くなる現実があると考えられる。 
 一方、現在わが国の産業医を取り巻く社会環境がさまざまな局面で激しい動きの中に
ある。産業構造の変遷はもとより、労働者の雇用形態が大きく変わろうとしている。企
業の終身雇用制度が前提であった労働者の健康管理システムは既に部分的に崩れ去りつ
つあり、昭和47年に制定された労働安全衛生法による産業保健制度自体が問われること
にも成りえよう。しかしながら、どのような時代になろうとも、人間が産業を営んでい
る限り、産業医学の重要性は普遍的なものである。むしろ、労働形態や雇用契約の多様
化により、労働者の健康を確保することを職務とする産業医の役割は益々複雑になって
くるものと考えられる。 
 従って、こうした社会環境が大きく変動する中にあって、産業保健活動が意欲を持っ
て積極的に推進されるために、産業医のアイデンテイテイを再確認し、専門職(Profes
sion)である医師としての自己実現を援助するための産業医特有の倫理綱領が必要にな
ってくる。しかもそれは現行の法律を考慮した具体的で現実に役立つものでなければな
らない。また、基本倫理は普遍的なものであるが、実務レベルの倫理原則を固定的なも
のと考えるべきではなく、時代的状況はもちろんのこと、文化的風土的状況にも十分対
応できる柔軟なものでなければならない。 



(注)

*1 ここでいう「産業の場」とは、労働基準法(労働安全衛生法)の事業または事務所
  (事業場)であって、工場、鉱山、事務所、店舗等のごとく一定の場所において、相
  関連する組織のもとに継続的に行われる作業の一体をいう。

*2 ここでいう「従業員」とは、労働基準法(労働安全衛生法)でいう労働者であって、
  事業又は事務所(事業場) に使用される者で、労働の代償として賃金を支払われて
  いる者を指す。地方公務員はもちろんのこと、広義的には国家公務員も含まれる。

*3 事業者とは、労働安全衛生法第2条で「事業を行う者で、労働者を使用するもの
  をいう」と定義されている。法人企業であれば当該法人(法人の代表者ではない)、
  個人企業であれば事業経営者(自然人)を指している。



【産業医倫理の特質】

 一般の臨床医学分野では、患者の自己決定権の尊重やインフォームド・コンセントの
普及に強い影響力をもたらしたバイオエシックス(bioethics)がよく知られている。
1970年代にアメリカで発展した新しい学問であり、臓器移植をめぐる脳死問題や遺伝子
レベルでの診断・治療に関する諸問題に関してバイオエシックスに基づく倫理基準の設
定が行われている。その特徴は、徹底したインフォームド・コンセントと患者自身によ
る医療行為に関する決定権の尊重である。当然ながら、産業医も医師として、バイオエ
シックスの原則に従って罹患した労働者の自己決定権を最大限尊重する努力をしなけれ
ばならない。しかしながら、企業社会の中にある産業医にとって純粋なバイオエシック
スの考え方、即ち労働者の自主的判断(autonomy)、恩恵(beneficence)、公正(just
ice)、無危害(nonmaleficence)で割り切れるような単純な倫理的問題は極めて少な
いのが現状である。事例によっては、義務論を基礎にした労働者個人の「プライバシー
保護の原則」よりも、功利主義の原理である「最大多数の最大幸福の原則」に従って会
社全体の利益や効率を優先させ方が良い場合もある。 
 一方、産業医は環境倫理学的視点も重要になってくる。企業の社会的責任が単に地域
社会への貢献に留まらず、地球規模での環境保全の責任まで範疇が及んでいることを認
知すべきである。これは全ての業種の企業に該当するものであり、企業が未来の子孫に
対する責任があることを自覚し、産業医は産業環境医学の専門家としてもこのことを経
営者に対して促さなければならない。 
 このように、産業医には、生命倫理学、環境倫理学および功利主義と倫理学的には対
立構造にある三つの考え方を必要とするのが特徴である。これは、現実の場面で産業医
が倫理的判断や行動をとることは決して容易ではないことを意味する。従って、わが国
においても、日本の文化や風土を十分考慮しつつ、英国のように積極的で実用的な産業
医のための倫理綱領が必要であると考えられる。 



【産業医の倫理綱領】

 ここでは産業医の実践倫理として、下記に示す10項目のテーマについて、実地に役立
つことを念頭にガイドラインの作成を試みた。 

 1. 専門職(Profession)としての自覚・使命感と社会への周知努力 
 2. 個人の健康管理情報の閲覧及び開示に関する秘密保持 
 3. 健康診断に関する問題 
 4. 作業条件(作業の質・量・適正)
 5. 会社の業務秘密」
 6. 研究を目的とした産業医学調査
 7. 事業者、労働組合および行政との関係
 8. 事業場内外の保健医療スタッフの協力
 9. 公共および地域社会・地球環境対する義務 
 10. 産業構造の変遷への対応 

 上記の10項目について、まず医師としての職業倫理を踏まえたうえで、労働安全衛生
法等で要求される法的基準を包含しつつ、それらを超える本来あるべき産業医の倫理が
具体的に明らかになることを目標とした。




  第1章 専門職(Profession)としての自覚・使命感と社会への周知努力 

【産業医とは】

(産業医の定義)

 1.1  本倫理綱領における産業医とは、事業者との契約に基づき、その事業者から委
   託された業務を産業医学の専門家としての立場で実践する医師をいう。具体的に
   は、事業者が雇用する労働者等の健康に関わる業務およびその事業場が地域社会
   に及ぼす健康影響に関わる業務等を担当する医師が産業医である。 



【産業医の使命】

(専門職としての認識と使命感の保持) 

 1.2  産業医は、単なる自己満足的な医療奉仕活動に終始してはならない。産業医を
   専門職(Profession) として明確に認識し、その歴史的な使命(Mission)を常に
   保持しなければらない。また、産業医は、その自覚の持続と日々の実践により、
   労働者や経営者のみなず、一般社会から産業医の存在意義および価値が積極的に
   受け入れられるよう努めなければならない。 


(産業保健の基本精神)

1.3  産業保健の基本精神は、人間にふさわしい作業および作業環境を提供するこ
   とである。人間が不当に安全や健康を脅かされている場合、産業医は直ちにその
   労働に従事している状況を是正するよう努力すべきである。 


(産業医の究極的な役割)  

 1.4 産業医の究極的な役割は、産業医学に関する公正な専門的助言者の立場に徹す
   ることにある。すなわち、事業者及び従業員自身が自主的かつ積極的に職場の作
   業環境や自分の心身の状態に関心を持ち、働く人々の自己実現のために自発的に
   職場環境の改善や身心の健康保持増進ができるように援助するのが産業医の使命
   である。企業が産業保健に関して専門家任せの受け身的体質がある場合は、これ
   を抜本的に改善するよう努めるべきである。 



【産業医の独立性】  

(産業医の独立性と契約)  

 1.5 産業医は産業医学の専門家として、常に独立性を保持しなければならない。これ
   は労働者側と経営側の両方に責任を持つことを意味することに留意すべきである。
   どちらか一方に偏った立場をとったり、両者に無責任であってはならない。産業
   医契約事項の中に産業医の独立性の確保に関する規定が盛り込まれるべきであり、
   契約の際にはこのことを十分に双方で確認することが大切である。 


(企業内の医学の専門家としての判断の重視) 

 1.6 産業医は、医師としての役割と企業人としての立場の両方が求められる。利益
   追及至上主義や能力主義などの企業経営方針により、産業医職務上で医師として
   心の葛藤やジレンマが生ずることが少なくない。しかしながら、原則として産業
   医は企業人であることを認識しつつも、医学の専門家としての判断を重視すべき
   である。 



【産業医職務の周知努力】  

(積極的な産業医周知努力の活動) 

 1.7 産業医は、企業の経営者及び労働者に対して、あらゆる機会を通じて建設的で
   積極的な産業医像及びその職務内容を理解してもらうよう常に努めなければなら
   ない。  


(関連団体への積極的活動の働きかけ) 

 1.8 産業医は、都道府県の産業保健推進センター、地域の医師会(地域産業保健セ
   ンター)、日本産業衛生学会産業医部会および産業医科大学産業医実務研修セン
   ター等の産業医支援団体に対し、企業や一般社会が産業医職務に関して正しい認
   識を持つことができるよう積極的活動を展開するよう要請すべきである。 



【産業医関連団体の活用】  

(積極的な産業医関連団体の活用) 

 1.9 産業医は、安全衛生機関、労働福祉関係団体および関連行政機関等に対して積
   極的に支援を要請し、それらの機関を活用すべきである。 




 第2章 個人の健康管理情報の閲覧及び開示に関する秘密保持  

【記録の保存・保護】  

(健康管理情報内容の管理に関する責任者) 

 2.1 従業員の健康診断結果等の健康診断情報の保存の法律上の責任者は事業者であ
   る。しかしながら、その内容の保存に関する実際上の責任者は、産業医又は産業
   保健婦(看護婦)でなければならない。 
    従って、健康管理情報(診断名、診療記録、健診結果記録等)が医療関係者以
   外の第三者に閲覧可能な形で経由されたり、保存されたりすることがあってはな
   らない。但し、状況に応じて衛生管理者をはじめとする他の産業保健スタッフが
   担当する場合がある。この場合、関係する全ての人々に健康管理情報の守秘義務
   があることを認識させるべきである。このことは産業医又は産業保健婦の義務で
   あり、口頭による指示と共に書類を作成して署名させた方がよい。 


(事業場に送られてくる健康管理情報の取り扱い方) 

 2.2 事業場に送られてくる全ての従業員の健康管理情報は、まず産業医に届くよう
   にすべきである。本人の上司や人事・労務担当者が直接に受け取るシステムにな
   っている場合は、これを抜本的に改善しなければならない。 

  
(産業医や産業保健婦が選任されていない事業所の場合) 

 2.3 健康診断を委託された外部機関が、産業医や産業保健婦が選任されていない事
   業所へ問診データを含む健康診断情報を返す場合、健康診断を担当した医師は、
   記録保存に関する義務を記した書面および誓約書を交付し、事業場側の当該管理
   責任者の署名をさせる等によって、記録の守秘・保護のための十分な手段を講じ
   なければならない。 



【記録の閲覧・開示】  

(開示における本人同意の原則) 

 2.4 従業員個人の健康管理情報を産業医等の産業保健スタッフ以外の者に閲覧させ
   るときは、事前に従業員本人に十分な説明を行い、必ず本人の同意を得るべきで
   ある。これは相手が誰であっても同様に対処しなければならない。すなわち、人
   事労務担当者、労働組合の委員、病院の医師、弁護士等の法務関係者及び保険関
   係者などが健康管理情報の開示を要求してきたときは、産業医がまずその目的や
   本人への影響などを確認した上で、従業員本人がそのことを十分に理解できるよ
   うに説明し、当人の同意を確認した後、必要最小限の範囲内で開示すべきである。


(産業医の健康配慮義務と事業者への通知) 

 2.5 健康配慮義務上、事業者がある従業員の健康管理情報を認知した方がよいと判
   断される場合は、産業医は積極的に提示すべきである。但し、この場合も本人の
   同意が必要があること、本人の適正配置または就業制限に関する必要な情報に限
   り開示することを原則としなければならない。事業者が法律上の健康配慮義務を
   理由として、従業員個人の健康管理情報の開示を求めた場合も同様に対処すべき
   である。 


(健康管理情報を第三者に開示できる場合の条件) 

 2.6 産業医が従業員の健康管理情報を第三者に開示することができるのは、下記の
   条件を何れかを満たす場合に限られる。 

 ・従業員本人の同意が得られた場合(本人が死亡の場合はその遺族の同意が得られ
  た場合) 
 ・本人の同意が得るのが困難で、開示することが従業員に明らかに有益である場合 
 ・本人の同意を得るのが不可能で、その近親者の同意が得られた場合。 
 ・開示しない場合、公共の利益を著しく損なうことが明らかな場合 
 ・情報内容そのものが、重大な犯罪防止に関係する場合 
 ・裁判所からの開示・提出命令がある場合 

    但し、以上の条件のいずれかを満たしているかどうかを確認できる書面の提示
   を、第三者に対して求めなければならない。 



【安全な記録保管の保障】  

(健康管理情報の保管の在リ方)          

 2.7 産業医は、健康管理情報記録の管理責任者によるデータの保管の安全性を確保
   するように万全の手配をすべきである。特に産業医や産業保健婦が交替する場合
   や従業員の健康管理情報を他の組織に移管する場合は、その記録の保管に関して
   適切な引き継ぎが行われなければならない。 


(電子化された健康管理情報の取り扱い方)  

 2.8 コンピュータ化された健康管理情報に関しても上記と同様である。即ち、従業
   員の健康管理情報へのアクセスを制限するために、身元確認やパスワードなどを
   設定することにより健康管理情報が安易に表示されないようにしなればならない。
   また、医療情報に関する情報システムはその安全性確保のために、独立した専用
   システムにすべきである。 


(コンピュータ・業務の従事者への守秘義務教育) 

 2.9 産業医や産業保健婦は、健康管理情報を扱うコンピュータ業務の従事者に対し
   、守秘義務に関する責任を十分に自覚できるよう適切な指導をすべきである。特
   に、委託業者に健康管理情報を扱わせる場合や社内のデータ管理業務が産業保健
   部門と異なる場合は、その教育を徹底させると同時に守秘義務を明記した文書に
   て担当者の署名をもらう等した方がよい。 


(健康管理情報の伝達方法)

 2.10 安全確保が保証されていない伝達方法にて、健康管理情報を送付してはなら
   ない。 




 第3章 健康診断に関する問題  

【健康診断・評価(雇入時、定期、特殊、その他)】 

(健康診断に対する産業医の責任) 

 3.1 従業員対する健康診断(雇入時、定期、特殊等)の実施は、労働安全衛生法に
   よって事業者の実施義務および従業員の受診義務が規定されている。従って産業
   医は、健康診断・評価において事業者、従業員双方に対して責任があることを自
   覚しなければならない。 


(配置前の健康診断)  

 3.2 配置前の健康診断に関しても、産業医はその重要性を認識して実施しなければ
   ならない。配置上の考慮が必要な場合は、その結果を事業者が尊重するように産
   業医は促すべきである。 


(法定以外の健康診断が必要な場合) 

 3.3 職場巡視等により、従業員に対して、法定および行政指導に基づくもの以外の
   特別の健康診断が必要であると判断される場合がある。この場合、産業医は関係
   者にその必要性を説明・勧告すると共にこれを実施すべきである。 


(健康診断を従業員が拒否する場合) 

 3.4 宗教上の理由などの個人的事情で健康診断を従業員が拒否する場合、産業医は
   受診拒否による本人への影響について十分に説明をしなければならない。受診拒
   否を続ける場合は、将来の健康影響や自己責任などについて明記した書面を用意
   し、本人の署名を求める等により、本人の意思の確認の手続きをとる方がよい。


(不当な理由で健康診断を求められた場合) 

 3.5 産業医が事業者から解雇等の不当な人事措置を目的として特定の従業員の健康
   診断を求められた場合、原則としてこれを拒否すべきである。また、産業医の医
   学的判断や評価が、特定の従業員に不利益な判断基準として利用されることがな
   いように十分注意しなければならない。 


(職務内容の変更を考慮すべき場合) 

 3.6 従業員の健康状態に応じて職務内容の変更を考慮すべき場合がある。その評価
   を行う際に、職務内容と関係のない身体的または精神的状況によって判断が左右
   されるようなことがあってはならない。産業医は人事・労務担当責任者に医学の
   専門家として適切な助言をすべきである。 


(採用可否の決定に関わる健康診断) 

 3.7 産業医は原則として採用時健康診断に積極的に関与してはならない。但し、職務
   適性について意見が求められた場合、産業医はその人の適性を正しく評価すべき
   である。身体や精神に障害がある人に対する不当な扱いを許してはならず、その
   人が適応可能な職場を推薦すべきである。 


(健康診断を外部に委託する場合) 

 3.8 健康診断を外部に委託する場合、産業医はその健診機関の精度管理等に注意を
   払い、健診機関の選定や契約条件等に積極的に関わるべきである。また、健診結
   果の最終的な判定区分の決定は産業医が行い、その結果をもとに従業員の健康管
   理を行うべきである。 


(健康診断に従事した者に対する守秘義務) 

 3.9 産業医は、健康診断の実施に従事した者全員に対して、守秘義務が課せられて
   いることを教育し、その自覚を徹底させなければならない。 



【病気による長期欠勤と職場復帰の判定】 

(病気欠勤者の把握)  

 3.10 産業医は病気による欠勤状況を適確に把握するよう努めるべきである。必要
   に応じて、人事労務担当者が定期的に産業医に連絡するようなシステムをつくる
   べきである。 


(長期欠勤者に対する医学的判断) 

 3.11 長期欠勤した従業員の復職に際して、事業者が労働能力に関する医学的判断
   を産業医に求めた場合は、医学の専門家として慎重に対処しなければならない。


(職場復帰の判定)  

 3.12  職場復帰にあたっては、本人および会社の双方が納得できるように、産業
   医学の専門家として公正な助言をしなければならない。産業医は、主治医の意見、
   復帰直前の本人の状態、就業に関する希望および職場の作業条件を十分考慮して、
   総合的見地から職場復帰の判定を行うべきである。 



【海外派遣労働者】  


(情報の正確な把握および提供) 

 3.13 産業医は海外派遣労働者の健康管理に関する情報を出来る限り正確に把握し
   、適切に助言しなければならない。 


(派遣先の国からHIV検査等が要求された場合) 

 3.14 渡航に際して、派遣先の国からHIV検査等、特別な検査が要求されることが
   ある。この場合は、その結果が周囲に漏れることなく且つ本人が社内で不利な状
   況に陥らないように事前に十分な具体的な対策を講じなければならない。 



【様々な雇用形態にある労働者】 

(短期間労働者等対する健康管理) 

 3.15 短期間労働者等に対する健康管理は、終身雇用労働者と同様に対処すべきで
   ある。法的に健康診断実施義務がない者に対しては、地域医療等との密接な連携
   をはかることにより本人が健康管理に関して不利益が被ることがないようにでき
   る限りの配慮をすべきである。 



【外国人労働者】  

(外国人労働者に対する差別の禁止) 

 3.16 産業医は産業保健の枠組みのもとで、外国人労働者に対して差別的取り扱い
   をしてはならない。 



【就業差別など人権侵害につながる検査】 

(就業差別など人権侵害につながる検査の禁止) 

 3.17 産業医は、就業差別など人権侵害につながる検査は行なってはならない。そ
   の疑いがあるものについては、事前に十分な調査をすべきである。 



【遺伝子スクリーニング】  

(遺伝子診断に関する倫理)  

 3.18 職場における遺伝子診断は今のところわが国では実際にはまだ普及していな
   い。しかし近い将来、職域でも遺伝子スクリーニングプログラムが応用される可
   能性は十分ある。その場合、遺伝子スクリーニング独自の倫理問題が存在するた
   め、関連学会の倫理規定(日本人類遺伝学会による「遺伝カウンセリング、出生
   前診断に関するガイドライン」など)を考慮して、職域保健における遺伝子スク
   リーニングに関する倫理原則を確立する必要がある。 



【HIV等の検査】  

(職場のHIVスクリーニングの禁止) 

 3.19 エイズの治療法が十分確立されてない現在の段階では、原則として職場のHIV
   スクリーニングを実施してはならない。人事サイドからHIV検査を要求された場
   合、従業員本人の同意が得られた場合であっても、産業医はこれを拒否すべきで
   ある。一方、従業員からHIV検査を依頼された場合、専門医療施設や保健所を紹
   介する前に、本人に対してHIV検査に関して十分な説明を行い、完全な理解を得
   られていることを注意深く確認しなければならない。 


(HIV感染情報とプライバシーの徹底) 

 3.20 従業員のHIV感染に関する情報は、一般の医療情報同様、個人のプライバシ
   ーが完全に保てるよう厳重に管理されなければならない。就業制限のため会社に
   報告する必要がある場合は、会社組織上で必要最小限の人数(課長や部長職など
   )に絞って行い、その際、職務上知りえた医療情報に対する守秘義務があること
   を徹底して説明すべきである。 



【心理テスト、メンタルカウンセリング】 

(心理テスト実施の目的と条件) 

 3.21 心理テストの実施は、産業精神保健活動を行う上で必要な場合に限られるべ
   きである。実施の際には、衛生委員会等を通してその目的、信頼性、限界及び結
   果の通知方法や利用方法等について事業者および従業員に対して十分説明し、双
   方の同意が得られてから実施されなければならない。また、施行後も継続的なカ
   ウンセリング等のケアができる態勢を整えておくべきである。 


(心理テスト実施による副作用の防止) 

 3.22 心理テストやメンタルカウンセリングの実施による副作用(例えば抑うつ状
   態や自殺など)を予防するため、産業医は精神医学や臨床心理学の専門家の助言
   を受けながら実施すべきである。


(精神医学専門用語の乱用の危険性)     

 3.23 用いる心理テストの性質や限界について、対象者となる従業員および人事
   ・労務管理担当責任者に説明する際は、不必要な誤解や不幸な結果を招くことを
   避けるため、精神医学的診断名や臨床心理学の専門用語を安易に用いるべきでは
   ない。 


(人事・労務管理のための利用の禁止) 

 3.24 産業医が実施した心理テストの結果が個人の人事・労務管理に利用されるこ
   とがあってはならない。但し、労務管理上で必要性がある場合は、作業の適正配
   置や就業制限に限られるべきである。心理テストの結果が雇用条件や昇進等に不
   利に働くことがないよう、産業医は人事・労務担当責任者に十分説得する義務が
   ある。


(精神保健情報管理の責任者) 

 3.25 精神保健に関する個人情報の管理は、他の医療情報と同様に原則として産業
   医(又は産業保健婦等)が責任を持つべきであり、より徹底したプライバシーの
   保護が必要である。 




第4章 作業条件(環境、作業の質・量・適正)  

(職場巡視による作業状況の把握) 

 4.1 産業医は、月一回以上の職場巡視を行うことにより、従業員の作業内容及び作
   業環境状況をできる限り正確に把握すべきである。その際に、従業員への健康影
   響が疑われる場合は、作業の質・量の改善とともに作業環境の適正化を具体的に
   指導するべきである。 


(新規化学物質の使用と産業医への通知) 

 4.2 新規化学物質の使用は産業医に事前に通知するシステムにすべきことを、産業
   医は事業者に対して明確にする必要がある。万一、産業医が新たに使用された物
   質を発見しその有害性が不明な場合は、事業者に対して法令上の調査義務がある
   ことを勧告しなければならない。また、新たな作業工程で作業者の健康に影響が
   あると考えられる場合は、直ちに改善するよう口頭及び文書で勧告しなければな
   らない。 


(事業者が産業医の勧告を無視した場合) 

 4.3 事業者が上記の勧告を無視した場合、産業医はまず事業者に対してその法的義
   務を説明し関連する第三者機関に助言を求めた上で、場合によっては労働基準監
   督署等の公的機関に連絡すべきである。 



【生物学的モニタリングを実施する場合】 

(十分な環境管理が実施条件) 

 4.4 まず、環境管理を十分に行なうことが生物学的モニタリングの実施の条件とな
   る。従って作業環境の測定が不十分なままで生物学的モニタリングを実施すべき
   ではない。 


(生物学的モニタリングの実施義務) 

 4.5 従業員に有機溶剤をはじめとする有害物質の曝露の危険性がある場合は、必要
   に応じて産業医は生物学的モニタリングを実施しなければならない。但し、実施
   前に対象者には生物学的モニタリングの目的や意義について、産業医は文書や衛
   生委員会などを通して正しく説明すべきである。 


(非侵襲性の生体試料が第一選択) 

 4.6 利用する生体試料は、非侵襲性のものをまず第一選択とすべきである。従業員
   の健康に危険性が伴うサンプル採取方法はできる限り避けなければならない。 




第5章 事業場の業務秘密

(業務秘密と健康配慮義務の関係) 

5.1 産業医が業務上知り得た事業場の秘密は、原則としてこれを公開してはならな
   い。但し、作業者に対して有害である業務機密については、従業員への健康配慮
   義務を第一に優先させるべきあり、産業医は事業者にその旨を勧告すべきである。


(業務秘密が環境汚染に関係する場合) 

 5.2 地域環境に有害である業務秘密を知り得た場合も同様である。産業医はこれを
   隠蔽しようとする事業者を黙認すべきでなく、事業者に対して直ちに改善するよ
   う勧告しなければならない。必要に応じて環境庁等の公的機関と相談すべきであ
   る。 




 第6章 研究を目的とした産業医学調査  

(ニュルンベルグ倫理要綱およびヘルシンキ宣言が前提) 

 6.1 産業医学に関する研究およびその結果に関する倫理は、基本的には一般の医学
   研究の場合と同様である。すなわち、ニュルンベルグ倫理綱領(1947)およびヘル
   シンキ宣言(1964、1974改正)に則って行なわければならない。産業医学研究に
   おいて、特に倫理的に留意すべき点は次の通りである。 



【産業医学研究における倫理的留意点】 

(産業医学研究の目的)  

 6.2 産業医学研究の目的は、労働者の健康確保に関するものであること。 


(産業医の責任)  

 6.3 産業医は研究に関して最初の計画から最後の結果公表まで責任をもつこと。


(承認の確保)  

 6.4 実施については事業場の衛生委員会や学会の倫理委員会等で目的に応じた適切
  な承認を得ること。 


(事前の十分な情報提供と参加の自由の保証) 

 6.5 被験者に対しては事前に研究についての情報を十分与え、参加の同意は自由で
   あること保証すること。 


(被験者の自主的判断の尊重) 

 6.6 被験者が不利益を判断した場合は、途中でいつでも辞退できることを被験者に
   対して確認すること。 


(恣意的情報提供の禁止)  

 6.7 事業者や労働組合に対して、その承認を得るために、研究にとって都合のよい
   偏った情報を与えないこと。 


(研究結果の開示)  

 6.8 研究結果の開示に関しては、本人の同意の有無に拘わらず、個人が特定できな
   い形で提示すること。研究結果が事業者にとって都合が悪いであった場合でも、
   公表するよう努めること。 


(外部研究者等への情報開示) 

 6.9 6.4の承認を得た研究以外の目的で、外部研究者に対して情報を開示しないこと
   。但し、特別の承認が得られた場合はこの限りではない。 


(最高水準での実施義務努力) 

 6.10 調査にあたっては、産業医は調査企画・方法・結果・報告すべてに最高水準で
   実施するよう努めるべきである。 




第7章 事業者、労働組合および行政との関係  

(医師の職業倫理と産業医特有の努力義務) 


 7.1 医師は、医学の専門家として、患者個人の利益を最大限に尊重し、それを第一
   に優先させる職業倫理上の義務がある。それと同時に、産業医は、事業者や労働
   組合等、さらに行政に対する義務もあることを認識すべきである。産業医にとっ
   て事業者や労働組合等と良好な関係を維持することは職務遂行上の必要条件であ
   り、そのために産業医は、普段の日常業務を通して信頼されるよう努めなければ
   ならない。 



【事業者との関係】  

(事業者側と対立した場合)  

 7.2 産業医の職務遂行上、事業者側と対立することがある。この場合、報酬を得て
   いる雇用者の一人であるという事実に躊躇することなく、産業医は公正な専門ア
   ドバイザーとしての姿勢を最後まで貫くべきである。 


(事業者に対する産業医の責任と医師としての義務の明確な区別) 

 7.3 事業者に対する産業医の責任と医師としての義務の明確な区別は、産業医の契
   約時に文書にて明記すべきである。特に、秘密保持と開示に関する産業医として
   の倫理上の義務と原則を明確にした方がよい。下記にその一例を示す。「事業者
   は、産業医の医師としての独立性を尊重し、医師の患者(罹患した従業員)の秘
   密を守る権利を認める。産業医は、医師の職業倫理に反しない範囲で、事業者か
   らの医療情報の開示の要求を認める。」 


(事業者に助言する内容の条件) 

 7.4 産業医が医学的評価に関して事業者に助言する内容は、就業制限事項に限るべ
   きである。会社側に報告書を提出する内容は、従業員と十分検討した上で従業員
   の署名入りの同意書を得ることが必要である。一方、事業者の従業員に対する安
   全衛生配慮の責任が法的規定されているが、事業者が自由に閲覧できる情報は作
   業環境や産業保健に関するものに限定し、個人の医学情報(診断名や治療内容な
   ど)はその対象外であることを倫理的に明確にしなければならない。 


(不当な産業医解雇の禁止)  

 7.5 労働者の健康管理等について公正な勧告をしたことを理由に、事業者が産業医
   を解雇できないことを認知させるべきである。一方、産業医は無責任で公正を欠
   いた勧告をするようなことがあってはならない。 



【労働組合との関係】  

(労働組合が説明提示を要求した場合) 

 7.6 労働組合の代表者が、産業保健活動の内容に関して産業医に説明を求めてきた
   場合は、いつでもこれに応じなければならない。その場合、産業医は医学的根拠
   に基づいてできる限り解りやすく且つ誤解のないように説明すべきである。安全
   衛生委員会において労働組合側から質問があった場合も、前述と同様である。但
   し、産業医の助言が、労使関係の交渉の際に不当に利用されないよう十分な配慮
   しなければならない。 



【行政及び公的機関との関係】 

(産業医が公的機関に関与する場合) 

 7.7 行政機関や公的機関に関与または協力する場合も、産業医はこの倫理綱領に従
   わなければならない。 




第8章 事業場内外の保健医療スタッフの協力  

(産業医の協調性とリーダーシップ) 

 8.1 産業保健活動は、産業医の独善的なものであってはならない。健康的な職場環
   境の維持は、事業者をはじめとする管理責任者および労働組合等の協力のもとで、
   産業医、産業保健婦、衛生管理者や労務担当者等の産業保健チーム全員の組織的
   かつ有機的な協力によって初めて実現できる。従って、産業医は単に医学の専門
   家であるだけでなく、リーダーシップや労務管理能力が必要である。 


(地域医療との有機的結合)  

 8.2 産業保健活動が地域医療から孤立することがあってはならない。産業医は地域
   医療機関との有機的な連携を積極的に推進すべきある。 


(産業保健婦等の倫理)  

 8.3 重要なパートナーである産業保健婦等の倫理に関しても、本倫理綱領と同等の
   倫理水準を維持しなければならない。特に、責任者である産業医が常駐せずに産
   業保健婦等のみが常勤である事業所では、倫理基準の遂行に関して真剣に取り組
   まなければならない。 




第9章 公共および地域社会・地球環境に対する義務  

(公共の利益を優先する場合) 

 9.1 産業医は他の医師と同様に社会に対して義務を有するため、患者個人の利益よ
   りも公共の利益を優先させなければならないことがある。例えば、法律に定める
   感染症や薬物依などの届け出のような種々の法的義務がある場合がこれに該当す
   る。この場合は、関係機関への通知および開示に関して本人の同意は必要としな
   い。また、法律で定められていない疾病に関しても、高度な危険性が労働者に対
   して予測される場合は、同様に対処しなければならない。 


(地域社会への配慮義務)  

 9.2 契約関係にある企業が、地域社会に対してどんな影響を与えているかについて
   、様々な角度から把握しなければならない。工場から廃液などが排出される場合、
   廃液中の化学物質等の排出方法や処理経路などについて熟知しておくべきである。
   万一、環境に対する悪影響が予見されるときは、産業医は直ちに事業者に対して
   改善の勧告をしなければならない。 


(地球環境保全と未来に対する責任) 

 9.3 企業経営者が地球環境保全に関する意識が低い場合、企業の業種に関わらず、
   産業医は産業環境医学の専門家として、未来に対する責任を重視する環境保全の
   倫理原則を尊重し、健全な子孫の繁栄を約束する社会的責任を経営方針の一つに
   取り込むよう推奨すべきである。 




第10章 産業構造の変遷への対応  

(変遷に対する適応性の確保) 

 10.1  産業構造および雇用形態は時代の状況に応じて多様に変遷するため、産業
   医はその変遷に対する適応性・柔軟性をもつよう努めなければならない。 


(職務内容の多様化と原点)  

 10.2 産業構造の変遷や労働市場の再編成に伴って産業医の職務内容も多様化する
   ことが予想される。しかしながら、産業医職務の原点は、予防医学の視点に立っ
   て労働と人間との適正化を図ること、すなわち、職場巡視によって作業形態を把
   握し、医学的観点から作業と人間との関係を最適化することであり、ここに産業
   医のアイデンテイテイを置くべきである。 


(変化する実務レベルの倫理と基本倫理の恒久性) 

 10.3  産業医に関連した法律が改正されることにより、実務レベルの応用倫理は
   変化する。従って、本倫理綱領も時代に即して見直されなければならない。但し、
   本書で述べた時代を貫く産業医の基本倫理は不変であることを認識すべきである。
   経済情勢や政治状況等のめまぐるしい変遷に振り回されることなく、一貫した基
   本倫理で対応しつつ、柔軟な姿勢で時代的な状況に対処すべきである。 




終章 哲学する医師  

 ヒポクラテスの格言に「医師にして哲学する者は神に等し」という言葉がある。哲学
するとは、無知の知を自覚して知を愛し、己の生き方を根源的に問直すことにより、未
知なる世界を積極的に求めていくことを意味する。 
 21世紀を迎えるに至って、産業医を取り巻く産業や医療の状況は、これまで体験した
ことのない社会情勢の大激動の渦に直面することになる。将に今こそ柔軟で確かな産業
医の倫理が必要であり、まさに究極的な医師像である「人間愛に徹し、生涯にわたって
哲学する医師」の姿が産業医に対して真剣に求められているといえよう。 




参考文献  


 1)土屋健三郎 監訳(1996): 
   産業医の倫理ガイダンス、英国王室医学協会産業医学部会レポート、健康開発科
  学研究会、横浜 

 2)大久保利晃  監訳(1994):産業保健組織に関する国際基準. 産業医学振興財
  団、東 京 

 3)International Commission on Occupational Health (1992): International 
  Code of Ethics for Occupational Health Professionals. ICOH, Singapore. 

 4)鈴木継美 訳(1993):職業保健専門家のための国際倫理規定、産業医学35:
  233-238. 

 5)Teichman R, Wester MS (1994): American College of Occupational and 
  Environmental Medicine Code of Ethical Conduct. J Occup. Med36 (1):27-30.

 6)小木和孝、藤野昭宏、加地浩 訳(1997):英国の産業安全保健制度改革、労働科
  学研究所出版、神奈川 

 7)労働省安全衛生部(1997):安衛法便覧 (I) (II) (III), 労働基準調査会, 
  東京. 

 8)日本人類遣伝学会「遺伝相談・出生前診断に関する委員会(松田一郎委員長)」
  会告守内哲也(文責),平成6年12月5日承認. 

 9)Wertz DC, Fletcher JC, Berg K, Boulyjenkow V.Guidelines on ethical 
  issues in medical genetics and the provision of genetics services. WHO. 
  1995.
 (日本語訳:松田一郎監修.福嶋義光編集.小児病院臨床遺伝懇話会有志訳.遺伝
   医学の倫理的諸問題および遺伝サービスの提供に関するガイドライン.1997.)

 10)The American Society of Human Genetics.Statement on Informed Consent 
  for Genetic Research.Am J Hum Genet.1996; 59: 471-474. 

 11)Collins FS, Patrinos A, Jordan E, Chakravarti A, Gesteland R, Walters L,
  and the members of the DOE and NIH planning groups. New Goals for the 
  U.S. Human Genome Project: 1998-2003. Science. 282: 682-689. 1998. 

 12)藤野昭宏,伊藤幸郎,東 敏昭.職場における遺伝子スクリーニング−特に,健
  康診断に関わる倫理的社会的諸問題をめぐって−.産業医学ジャーナル1998; 21:
  85-87.

 13)平成10年度厚生科学研究報告書.「疫学研究におけるインフォームド・コンセン
  トに関する研究と倫理ガイドライン策定」(玉腰班)1999. 

                     TOP

                      戻る