2007年10月の記事一覧
公共工事の構造
公共建設市場を、発注者(自治体)を頂点とした関連図でみると、ここには[図3]のようなふたつのヒエラルキー構造(ピラミッド)をみることができます。よくマスコミが知ったかぶりで、「スーパーゼネコン→準大手→中小建設業」という、ひとつのヒエラルキーで中小建設業の位置を説明しようとしていますが、それは今のところは大間違いです(でも将来はそうならないとは限りませんが)。
なぜIT化は遅れたのか
それでは、なぜ「中小建設業のIT化」は遅れてしまっているのでしょうか。いろいろある意見の中で、核心を突く答えをひとつピックアップするとなればこれでしょう。
「いくらコンピュータに投資をしても仕事はとれない」
[表1] 開発主義政策のプロトタイプ・モデル
- 私有財産制に基づく市場競争を原則とする
- 政府は、産業政策を実行する
- 新規有望産業の中には輸出指向型の製造業を含めておく
- 小規模企業の育成を重視する
- 配分を平等化して、大衆消費中心の国内需要を育てる
- 配分平等化の一助という意味も含めて、農地の平等型配分をはかる
- 少なくとも中等教育までの教育制度を充実する
- 公平で有能な、ネポティズムを超えた近代的官僚制を作る
(村上泰亮, 『反古典の政治経済学 下 二十一世紀への序説』,中央公論社,1992,p98-99)
中小建設業とは
さて、私たちは、IT化の現象としてのインターネット社会、「情報」の正体としての「ミーム」という眼鏡をもってIT化を考えるという準備を終えましたが、もうひとつ本書が中小建設業のIT化を考察するときに基盤とする考え方があります。それは、「中小建設業のIT化=中小建設業×IT化」という方程式にある「中小建設業」そのものの理解です。これは、「制度・慣行=環境×原理」という方程式の、制度慣行を中小建設業と置いて考察をする作業となります。つまり中小建設業という産業を成立させている「環境と原理」を考える、ということです。
情報としてのミーム
私の家には、私と家人のために、ISDN回線とADSL回線、 2台の電はなし機とファックス、 3台のテレビセット、 2基のファイファイ・システム、 2基のDVDシステムとインターネットに接続された 3台のコンピュータがあります。そのほか何百冊という本、何十枚かのCDとDVDとビデオもあります。では、どのようにしてこれらは存在するようになったのでしょうか、そしてそれはなぜなのでしょうか。