米FCCのブロードバンド個人情報保護規制,議会両院と大統領が「無効」に

アメリカのトランプ大統領は,FCC(連邦通信委員会)が導入したばかりのブロードバンド事業者(ISP)への個人情報保護規制を無効とする法案に2017年4月3日に署名し,この規制が「無効」になることが確定した。

今回「無効」になったFCCの規制は,ブロードバンド事業者が加入者の承諾を得ずにウェブ上の閲覧履歴等の個人情報を入手し,第三者と共有することなどを制限するもので,2016年10月にオバマ政権下で導入が決まった。しかし,厳しい規制の導入に反対する事業者側はトランプ政権に移行後,米議会に撤廃するよう,働きかけを強めていた。

こうした動きを受けて与党共和党は,連邦機関が制定した規制を覆すことができる議会修正法(Congressional Review Act)に基づいてFCCの個人情報保護規制を無効にする法案を米上院に2017年3月に提出,上・下院での議決と大統領の署名という手続きを経て規制の撤廃が決まった。この法律に基づいてFCCは今後,同種の規制が制定できなくなるという。

ブロードバンド事業者は「インターネット回線は公共財」との理由でFCCの所管になっているが,自社の回線を持たないGoogleやFacebook等のインターネット事業者はFTC(連邦取引委員会)と,管轄が分かれている。FCCのアジット・パイ委員長は「インターネット関連事業者の個人情報保護規制はFTCが一本化して行うべき」との考えを示しているが,事業者への厳しい規制を撤廃することについて,民主党や権利保護団体などから強い懸念の声があがっている。

藤戸あや

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