歌舞伎俳優市川海老蔵(33)が殴打され重傷を負った事件で、15日、先に殴られたと主張する元暴走族グループリーダーの代理人が、16日に都内で開く予定だった会見の中止を発表した。代理人の藤本勝也弁護士によると、会場の司法記者クラブに定数25席を上回る100件超の取材申し込みが殺到し、同クラブからキャンセルを申し出たという。同弁護士は、傷害容疑で逮捕された伊藤リオン容疑者の弁護人と電話で接触し「認識は一緒。ガチンコでケンカするか、大人の解決をするか」と攻撃的な姿勢を見せていたが、会見の中止決定後は口を閉ざした。

 午後7時半に事務所から出てきた藤本弁護士は、会見中止の理由を語り始めた。「無理だって。記者クラブの方も悲鳴を上げて、ごめんなさいって。のべ何百人も申し込みだって」。予想を上回る取材の申し込みが理由だと強調した。

 年内をメドに会見を開く努力をする方向も示した。報道陣から伊藤容疑者の勾留期限10日間が切れる前の会見開催、作成済みの被害届を提出する可能性について「(両方)ない。無理。10日間が終わって、また(勾留期限が)10日延長になるわけでしょ」と語り、即時の対応を否定した。

 昼に報道陣の取材に応じた際は、これまで以上に踏み込んだ発言を繰り返した。伊藤容疑者の弁護人と前日14日に、電話で初めて接触したと明かし「認識は一緒。ガチンコでケンカするのか、本当に大人の解決(示談)をするかの選択があるのでは?」と話した。「先方は大人の対応をしたいのか?」と聞かれると「具体的に話していないが徹底的に法廷闘争をするか、どこかで大人の対応をするか」と繰り返した。

 会見中止の発表後は、一転して口を固く閉ざした。元リーダーから「至急、相談がしたい」と連絡があったことも明かしていたが、その件についての質問が飛ぶと「話したけど…。お互い(元リーダー側と海老蔵側)に考える機会があるから考え直しますよ。今日は何も言わな~い」と、半ばおどけた感じで回答を拒否した。

 仕切り直した先に、何が起きるのか…海老蔵側の動きも含め、予断を許さない状況となってきた。

 [2010年12月16日8時28分

 紙面から]ソーシャルブックマーク