日経サイエンス  2011年11月号

世界を変えた日本の頭脳 ノーベル賞に近い人たち

飯島澄男:次代の産業の米,ナノチューブ

池辺豊(日本経済新聞)

 「これはなんだ!?」 1991年,茨城県つくば市にあるNECの基礎研究所。アーク放電を起こした黒鉛(グラファイト)の電極を電子顕微鏡で観察していた飯島澄男主席研究員(当時)は,見たこともない形の結晶を目にして思わずこんな言葉をつぶやいた。それは非常に微細なヒゲ状の炭素の結晶だった。直径はわずか数nm。髪の毛の約10万分の1の太さでしかない。飯島氏は,この新物質を「カーボンナノチューブ」と名付けた。ナノテク,ナノ材料,ナノマシンなどといったナノのキーワードが世に知られるようになるはるか以前のことだった。

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