中国国防費、7.5%増19.8兆円 強軍路線が鮮明に
【北京=永井央紀】中国政府が5日公表した2019年予算案の国防費(中央政府分)は前年比7.5%増の1兆1898億元(約19兆8千億円)となった。伸び率は前年(8.1%増)を下回ったものの、国内総生産(GDP)成長率目標よりも高い水準。経済成長が鈍化しても軍備増強を急ぐ姿勢が鮮明になった。
中国の国防費は米国(約80兆円)に次いで世界第2位の規模で、日本の19年度当初予算案の防衛関係費(5.2兆円)の3.8倍にあたる。李克強(リー・クォーチャン)首相は政府活動報告で「改革による軍隊強化や科学技術による軍隊振興を踏み込んで推進しなければならない。実践的な軍事訓練の水準を高め、国家の主権・安全・発展の利益を断固守る」と強調した。
中国軍は空母建造やグアムの米軍基地を射程に入れる弾道ミサイルなど新兵器の開発と配備を加速させている。原油や食糧を輸送するシーレーンを守るために遠洋へ部隊展開する訓練も強化。さらに求心力維持に向けて軍人の待遇改善も進めている。予算の増額分はこれらの装備調達や訓練費、人件費の各分野に割り当てられるもようだ。
全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の張業遂報道官は4日の記者会見で「国防費の適度な増加は国の安全を守るために必要だ」と正当性を強調した。GDP比の国防費は1.3%にすぎず、他の先進国の水準よりも低いとも指摘。「中国は平和発展の道を歩み、他国の脅威にはならない」と訴えた。
中国の国防費は中央政府分と地方政府分に分かれており、大半を中央政府分が占める。5日に公表されたのは中央政府分にあたる。
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