大型ビジョンや重低音の劇場型体育館 群馬・太田市
群馬県太田市の太田市総合体育館(愛称・オープンハウスアリーナ太田)が15日、開業した。こけら落としは、同体育館をホーム会場とする男子プロバスケットボールリーグ1部(B1)の群馬クレインサンダーズと、B1宇都宮ブレックスとの試合。目玉となる国内屈指の大型ビジョンや音響設備が、集まった5262人の観客を魅了した。同市は「劇場型」の新アリーナで、バスケが中心のまちづくりに注力する。
カラフルな光の束が目に飛び込み、大音量の音楽が体中にこだまする。バスケの本場・米国さながらの豪華な演出とともに選手が入場。試合が始まると、観客席よりもコートが明るく照らされ、試合への没入感も高い。最前列の観客席は選手に触れそうなくらいコートに近く、大迫力だ。
試合はホームのサンダーズが逆転勝利。終了のブザーが鳴ると、観客の熱気が会場を包み込んだ。試合後、先発出場したサンダーズの並里成選手は「試合前の演出からこだわっていて、ワクワクした。このアリーナで試合ができるのは選手として幸せ」と目を細めた。
新体育館の収容人数は約5000人。Bリーグの他のアリーナと比較しても大きくはない。だが、設備は国内屈指だ。コート中央の上にあり、計6100インチもある大型ビジョンは上下の可動式。フランス製で、世界最高峰ともいわれる音響設備は国内初導入で、スピーカーが50機、重低音を響かせるサブウーハーが24機配置されている。
通常の体育館にはない演出照明も含め、計84台の照明がアーティストのライブのような演出を可能にする。観客を酔わせる「劇場型」の雰囲気を作り出す。
観戦したBリーグの島田慎二チェアマンは、「観客席を暗くしコートにだけ照明を当てるのは意外と難しい。コンパクトなアリーナだからこそ打ち出せる魅力。観客が感情移入しやすいアリーナだ」と称賛した。
豪華な演出で非日常感を作り出し、観客を楽しませる仕掛けを打ち出せる。
バスケ大会などスポーツ興行以外のイベントにも対応可能だ。館内には飲食物を販売するスペースもある。トイレの数は、旧体育館に比べ約4倍の158個に増やすなど、集客イベントに向いている。太田市はアーティストのコンサートや他のスポーツ大会などにも活用できるとみる。
新体育館の総事業費は約82億5000万円。サンダーズのオーナー企業、オープンハウスグループが企業版ふるさと納税で約40億円を負担した。
サンダーズのゼネラルマネジャーで、オープンハウスグループの吉田真太郎常務執行役員は「バスケでアリーナの価値を高め、太田を聖地にしたい。その後、いろいろなイベント開催のニーズは出てくる」と話す。
まずは、バスケの年代別の全国大会などを招致する考えだ。自治体と企業、チームが一体となり、バスケのまちづくりに心血を注ぐ。
(田原悠太郎)