世代をつなぐ100年長期投資リレーの可能性
積立王子への道(58)
人生100年時代は「死ぬまで長期投資」時代だ
2人のようなヤング世代の場合、自らコツコツと長期積み立て投資を続けることで将来の経済的不安は早々に解消されるだろう。同時に親世代にとっても生涯にわたって長期投資を継続することは、人生100年時代を踏まえるととても重要な、いわば「令和時代の新常識」だ。老後2000万円問題がかまびすしかった通り、多くのシニア世代が長寿化に伴い老後資金計画を再考せねばならないわけで、長期投資を生涯軸で続けることによって、殖やしながら使っていくという発想の転換で資産寿命も延ばすことができる。だからボクも積立王子としてこの新たな行動規範について強くメッセージを発しているんだ。
投信は現金化せずに相続することも可能
親子そろって将来の経済的自立を自ら獲得するとともに、親世代の長期投資は本人があの世にいった後も、本当にエンドレスで実践することが可能になる。つまり子が相続する投資信託は、親から子へ名義変更することで現金化せず投信のまま相続財産として受け取ることが可能なのだ。親の長期投資の成果をまるでバトンを受け取るがごとく子は引き継いで、次の長期投資の道を走り出すことができるわけだ。
100年スパンの「すごい長期投資」
ハジメくんといろはちゃんは、お父さんが十分に長期投資を続けた後にそれを相続し、さらに自分の生涯にわたり継続する。やがて2人も同様に自分の子に長期投資のまま相続する時がくるだろう。かくして親から子、子から孫への長期投資のバトンリレーで100年スパンのすごい長期投資がかなうのだ。
欧米にはこうした世代を超えた長期投資バトンで大富豪になったファミリーの実例がたくさんある。日本でも長期投資が社会・生活に定着することで、今後こうしたバトンを引き継ぐ「長期投資富豪」が続々と登場してほしいものだ。複利で膨らんでいく長期投資の威力を100年後を見据えて想像してごらんよ。天文学的な金額にもなり得るんだ。2人とも今からお父さんと話し合って、次世代の富豪ファミリーを目指してもらいたいね。
セゾン投信株式会社代表取締役会長CEO。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会副会長。積み立てによる長期投資を広く説き続け「積立王子」と呼ばれる。『預金バカ』など著書多数。
積み立て投資には、複利効果やつみたてNISAの仕組みなど押さえておくべきポイントが多くあります。 このコラムでは「積立王子」のニックネームを持つセゾン投信会長兼CEOの中野晴啓さんが、これから資産形成を考える若い世代にむけて「長期・積立・分散」という3つの原則に沿って解説します。