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滝廉太郎遺作「憾」楽譜を寄贈 友人親族が大分・竹田市へ

 日本の近代音楽の扉を開いた音楽家滝廉太郎(1879~1903)の遺作「憾(うらみ)」の楽譜が、少年時代を過ごした大分県竹田市に寄贈された。滝と親交の深かった友人が譲り受け、その親族が保管していたという。滝は結核で亡くなったために遺品の多くは焼却処分されており、他に寄贈された滝からの手紙なども含め、市は慎重に分析を進める。

 「荒城の月」「花」など詩のある歌曲が多い滝の作品の中で、「憾」は2曲しかないピアノ曲の一つ。結核を患い療養先の大分で亡くなる約4カ月前に作られ、滝が抱いた人生への未練や無念が込められた曲として評価されている。

 楽譜や手紙を保管していたのは、滝の東京音楽学校(現東京芸大)の同窓で、卒業後も親交があった故鈴木毅一(きいち)氏の親族。1月末に竹田市に相談があり、今月7日に段ボール箱7個分の資料が届いた。

 寄贈された楽譜は2枚あり、いずれも自筆。1枚は完成した楽譜で、もう1枚は「未成」と赤く記され、鉛筆で譜面を書き直すなど推敲(すいこう)を重ねた跡が残り、作曲途中の楽譜とみられる。

 手紙は滝が1901年4月に書いたもので、留学先のドイツへ向かう船内で披露されたオーケストラの演奏の感想や、同行者の様子などが書かれている。他に滝の楽曲が掲載された教科書や作曲に使われたノートなども寄贈された。

 滝の研究などに取り組む大分県立芸術文化短大の宮本修名誉教授は「『憾』は作曲過程に謎が多く、寄贈された楽譜などは、晩年の思いや心の変遷を読み取る貴重な資料になる」と話している。

=2019/02/09付 西日本新聞朝刊=

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