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「雲仙地獄」動いた 地下から噴気、駐車場陥没・・・景観公開も検討

 白い蒸気を噴き上げる雲仙温泉(長崎県雲仙市)の観光名所「雲仙地獄」(約6・6ヘクタール)の活発な活動エリアが、隣接する駐車場の地下にも及び、舗装面が高温になり陥没するなど影響が出ていることが分かった。駐車場は昨年10月に閉鎖した。雲仙の地獄は長い時間をかけて西から東へ動いており、その過程で地盤の弱い所にも活動が広がったとみられる。環境省は「火山地帯ならではの自然現象」として観光に生かす方向で検討している。

 同省雲仙自然保護官事務所などによると、地獄から遊歩道(幅約3メートル)を挟んで北側に隣接する駐車場(20台、約450平方メートル)は1970年ごろから活用。2018年4月、地獄に近い舗装面の一部が盛り上がり、噴気を抜くパイプを埋設した。だが昨年2月と6月に相次ぎ陥没。大きい穴は縦1・7メートル、横1・2メートル、深さ0・6メートルに及び、約95度の蒸気や火山ガス、温泉が噴き出し始め、舗装面の温度は40度を超えたという。

 駐車場の地下構造をレーダーで調べたところ、敷地内の大半に隙間や空洞が見つかった。蒸気や火山ガスで浸食されたとみられ、「いつ、どこが陥没するか分からない危険な状態」(同事務所の服部恭也自然保護官)として10月末に閉鎖し、現在は立ち入りを禁止している。

 一帯は雲仙天草国立公園に指定され、駐車場は国有地に当たる。同省はアスファルトなどの人工物を撤去した上で、地獄の景観を公開する考えだ。

 地獄は大分県別府市や宮崎県・硫黄山など火山地帯にあり、高温の噴気や温泉が噴き出ている。雲仙の地獄は地下のマグマの活動に伴い数千年をかけ、約300メートル西の湿原・原生沼から現在地に移動している。

 九州大地震火山観測研究センター(長崎県島原市)の松島健准教授(地球物理学)は「別の場所に噴き出していた熱水や噴気の通り道が何らかの原因で詰まり、出やすい場所に移ったと考えられる。別府ではボーリングで強制的に排出しているので地獄が動きにくいが、自然のままの雲仙は出口が変わりやすい」と分析している。 (真弓一夫)

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