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話題になってmath! スポ根漫画「数学ゴールデン」舞台は福岡

 福岡を舞台に数学と格闘する高校生を描いた「スポ根」漫画が話題になっている。九州大理学部数学科出身の蔵丸竜彦さん(35)が手掛けた「数学ゴールデン」。世界各国の数学エリートの若者が集う「国際数学オリンピック」日本代表を目指す男子高校生が個性豊かなライバルたちと競い合い、人間的にも成長していく。難問に向き合うシーンはダイナミックな作風で格闘技風に描かれ、数学が苦手な人でも楽しめる作品だ。

マンガ大好き芸人

 「胸張っていこうぜ俺 ビビッちまう場所に挑めるんだぜ」「きっと数学の中にはなんだってあって 解きたくて必死こいてれば どうしても学んじまうんだ」。作品には、紹介される数学の定理の数と同じぐらい、熱いせりふが何度も登場する。漫画誌、ヤングアニマルZEROで連載中。単行本は第3巻まで発売されている。9月にはテレビ朝日系の人気バラエティー番組「アメトーーク!」のマンガ大好き芸人の回でも紹介され、注目度を増した。

第3巻まで刊行されている「数学ゴールデン」

 主人公は福岡県の高校に通う1年生、小野田春一。青春の全てを数学にささげ、勉強用の「がんばりmathノート」は既に20冊近い。本人は静かに思索に没頭したいが周囲がそうさせない。無邪気だが天才的なひらめきを持つ同級生の女子生徒、九州最強の「数学の貴公子」、日本代表レベルのナルシシスト男子…。個性豊かな面々が登場し、春一と競い合う。

 難問の壁に春一たちは何度もはね返されるが思考をやめない。そこに蔵丸さんのメッセージがある。「最近は自分が向いていないと思ったら、スパッと諦めて切り替える風潮がある。でも、春一たちは手ごわいだけ燃える。悩みに悩んで、それを楽しんで発想の入り口を見つけていく」

1巻に一つは福岡ネタ

 蔵丸さんは鹿児島県出身。九大を卒業後、上京して漫画家の夢を追ったが一度は断念した。鹿児島に戻って高校の数学教師をしていたが、30歳の時に出版社の新人賞を受賞。再度上京して、勝負を懸けている。

 「一度、教員を経験したからこそ数学の面白さが分かった」。漫画家にはあまりない経歴。だからこその作風のダイナミックさが「自分の持ち味」と語る。

 舞台は、蔵丸さんが学生時代を過ごした福岡の地。九大伊都キャンパス(福岡市)やマリンワールド海の中道(同市)、「むっちゃん万十」など、実在する施設や食べ物をモチーフにした場面が盛り込まれる。

 数学五輪向けの講座に出るため、春一が自転車で大学キャンパスに向かい、急勾配の坂で足がガクガクになる場面がある。それは蔵丸さんが学生時代、移転の始まっていたキャンパスを見学するため、自転車で福岡市・箱崎から向かった経験を基にしているという。「1巻に一つは福岡ネタを。セリフは方言で補って楽しんでほしい」と笑顔を見せる。

 「数学は世界共通語だけど、日本って世界で一番、数学に関心の少ない先進国なんです。海外はアカデミックなものを漫画にするっていう意識はないだろうから、衝撃があるんじゃないか」。数学の面白さを広げつつ、春一とともに海外進出するという金色の大きな夢を描いている。

(中野剛史)

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