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病害虫図鑑 ヨトウガ類(野菜共通)

ページID:0272986 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

ヨトウガ

1 学名:Mamestra brassicae (Linnaeus)

2 被害の様子
 ふ化幼虫、2~3齢幼虫は群がって集団で加害する。被害葉は、食害部だけ表皮を残し白色のかすり状になる。3齢になると、表皮を残さず、網目状に不規則な穴をあけて、葉は食い破られたようになる。さらに成長すると、主脈だけを残して暴食する。5齢まではキャベツ、ハクサイ、ダイコンなどの葉上で生活を続けるが、6齢になると昼間は地際の土中やキャベツの結球内に潜入してかくれ住み、夜間現れて食害する。暴食された株の根元周辺を掘ると老熟幼虫がごろごろ出てくることがある。被害が甚だしい場合、キャベツでは葉脈だけがきれいに残って網目状となり、さらに球の内部へ重なった葉に沿って斜めに食い入り、虫糞で汚して食用にできなくなる。結球する前のものは、中心部まで残らず食べられることもある。ダイコンやカブの場合は、葉心を残すだけのボウズにするので発育が著しく遅れ、収量が激減する。

3 生態
 卵は、必ず葉裏に産みつけられる。卵は数十個から数百個の平面卵塊で1つ1つはマンジュウ型で直径0.6mm、側面に放射状の線がある。ハスモンヨトウの卵塊は成虫の鱗粉で覆われているので区別できる。ふ化幼虫は、淡緑色でほぼ透明、2~3齢幼虫は淡い黄褐色。4齢になると頭部は黄褐色、胴部は淡褐色や灰黄色や灰黒色と変異が多いが、全面に灰黄色の細かい点が密に散らばり、また体側に黄色~橙黄色の線がある。気門と下面は灰黄色。通常、成虫は年2回発生する。第1世代の成虫は、暖地では4月上旬~5月下旬に発生する。幼虫は5~6月に発生し、1ヶ月あまりで老熟して土中で蛹化し、一部羽化するものを除いて夏眠する。第2回の成虫は9月上旬~10月下旬に発生する。成虫の寿命は数日である。土中で蛹化した状態で越冬する。甚だしく雑食性で、45科107種の植物を加害する。

4 発生しやすい条件
・隣接のキャベツ、ハクサイ、ダイコン等の畑で大発生した場合や発生の多いほ場の作物が収穫された後に、集団で移動してきて大害を与えることがある。
・北海道以外の暖地では、盛夏に夏眠するため、高温年でも発生回数は増えない。

5 防除対策
・発生は春より秋の方が多いので、秋期の発生には特に注意する。
・薬剤の散布は、加害の初期(葉面にカスリ状の食痕が現れ始めたとき)に1回目、その7~10日後に2回目を散布する。
・若齢幼虫は葉裏を加害するので、葉裏に十分薬液または粉剤が付着するよう散布する。また、若齢幼虫は、わずかの刺激でも体をまるめて落下するので、薬剤散布前にほ場を歩き回らない。
・5~6齢幼虫になると食葉量が多くなり、また昼間は土中に潜伏するので防除は困難である。

ヨトウガ成虫

ヨトウガ成虫

ヨトウガ幼虫

ヨトウガ幼虫

シロシタヨトウ

1 学名:Sarcopolia illoba (Butler)

2 被害の様子
 卵は多数かためて産みつけられ、ふ化幼虫ははじめ群生して葉肉のみをすかし状に食害する。その後次第に分散して独立して生活し、葉をはじめ、花を特に好んで食害するようになる。老熟幼虫は日中は物陰や地際にかくれ、夜間活動する。ごく普通に見られる害虫だが、近縁のヨトウガやハスモンヨトウのように大発生することはない。
 雑食性の害虫で、食草は野菜、花き、雑草と幅広く、花きではキク、バラ、ガーベラ、アイリス、アサガオ、グラジオラス、パンジー、ハボタンなどきわめて多くのものが食害を受ける。

3 生態
 成虫は中型のガで、翅の開張35~45mm。前翅は赤紫褐色で不明瞭な斑紋がある。老熟幼虫は45mm前後、頭部は橙黄色、胴部は黄褐色のものと緑色のものと2型あるが、両型とも気門線に沿って黄白色の太い条線がある。
 年2回の発生で、土中の蛹で越冬し、成虫は4月頃から現れ、夜間活動して灯火にもよく飛来する。成虫の最盛期は5~6月と10月。

4 防除対策
・付近の雑草から移動してくることが多いので、除草につとめる。
・早朝あるいは夕方に見回って目につく幼虫を捕殺する。
・幼虫の若齢期の防除につとめる。
・老熟幼虫になると食葉量が多くなり、また昼間は土中等に潜伏するので防除は困難である。