野球賭博

狙われる巨人選手 主力や他球団選手へのとっかかりに? 

 プロ野球巨人の選手による野球賭博問題は21日、複数選手の関与が発覚し、新たな展開を迎えた。『巨人軍は常に紳士たれ』という球団創設者、正力松太郎氏の遺訓は守られず、「球界の盟主」は深刻なモラルの低下に見舞われている。野球は2020年東京五輪の追加種目として採用が有力視されるだけに、イメージの悪化も懸念される。

 球界関係者の間で指摘されるのは取り巻き、いわゆる「タニマチ」の存在だ。他球団から巨人に移籍した元選手は「金銭面を含めて、他球団とは環境が天と地ほど違う。人が周りに寄ってくるし、いい思いをさせてもらったことも確かだ」と打ち明ける。

 特に人気球団の選手には、筋目の善し悪しにかかわりなく人が群がる。野球選手が巻き込まれるスキャンダルは、多くが裏社会に通じる「タニマチ」がらみとされる。

 「巨人の選手は犯罪行為のターゲットになりやすい」と指摘するのはスポーツジャーナリストの安倍昌彦氏。「『巨人の××もやっているのだから』といえば他球団の選手も誘いやすい。今回の問題が他球団へ波及してもおかしくない」と警鐘を鳴らす。

 一方、スポーツライターの小関順二氏は、胴元の狙いを「彼らをとっかかりに主力選手へ食い込もうとしていたかもしれない」と推測する。賭博の対象となる試合の出場選手も巻き込んだ八百長行為に発展する可能性もあったとみる。

 3投手とも高校、大学から直接プロ入りした選手だった。安倍氏は「社会人野球で何年かプレーしていれば、サラリーマン経験もあり、物事が白か黒か、灰色なら手を出していいものなのか、ある程度判断はつくはず」と残念がる。

 19日に行われた巨人・原辰徳監督の退任会見で白石興二郎オーナーが「若干たがが緩んできているかなという気もする。選手個人個人の立ち振る舞いについてもきちんと締め直さなければ」と述べたばかり。事態は、たがの緩みでは済まされない状況にある。

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