本多正信といえば、徳川家康の天下取りを影から支えた名参謀だ。「真田丸」の場合、何かと真顔でボケまくる徳川家中における「突っ込み役」でもある。正信を演じる近藤正臣(74)は、正信と家康の関係について「主従関係が薄い。どちらかというと、弟を見るような感覚」と話しつつ、「本当は真田十勇士が良かった」などと冗談交じりに語った。(本間英士)
徳川家のゲームプレーヤー
《もともと、正信に持っていたイメージは》
あんまりよう知りませんでしたが、名前は知っていました。私も名前に「正」がつきますから。ちなみに、(前の朝ドラ)「あさが来た」では正吉です。(平成23年の朝ドラ)「ごちそうさん」のときは、正蔵でした!
《真田家における井浦昌相ら、「真田丸」には多くの「参謀」たちが登場するが、正信は他の参謀とは雰囲気が少し異なる》
機敏な頭脳に見えない方がいいな、と思ってやってます。昼寝しているという感覚です。あんまり一生懸命にならないでいこう、と思ってるんですよ。
《「真田丸」における正信の役割は》
今やっているのは、天下取りゲームではなく、生き残りゲームの最中です。軍師はゲームプレーヤーです。ただ、軍師もいい駒を持たないと、ゲームには勝てない。だから、殿(家康)にはどんどんスキルアップしてほしいんです。
正信の立場は、家康を「悪い評判」から守ることだと思ってます。悪い評判は正信が引き受けないと、良いコマは傷だらけのコマになり、使い物になりませんから。
それに、今後は言いがかりのようなことを言ったりします。「(方広寺の)釣鐘の銘が…」とかね。今後どうなるかはまだ分かりませんが、「家康さん、俺がやるから。お前は黙って、ワシは知らん、と言っておけ」という感じになったらいいなと思います。
本多忠勝さんはおかしい
《今作の家康について、「異色の家康」だと語る》
主従関係が薄いですね。家康がまだ天下人を目指していない時代から一緒にいますし、年も正信の方が上。弟を見る感じというか、「殿」というより「友」というか…。
最初のころの家康は、「やけどしちゃう!」とか、バカ言っているところから始まっています。いずれ家康は天下人になりますが、正信にはどこかで「またまたぁ…」という(兄のような)目線を残したいと思います。家康がああいうキャラで「大坂の陣」までいき、全国制覇した姿を見たいですね。
《家康、正信、本多忠勝の3人の会話が面白い》
やりながら、俺もおかしいと思っています。忠勝さん、おかしいんだよ(笑)。特に、娘(小松姫)が出てくるときなんて、ただのバカボンだね。何が勇猛果敢な武将だよ、というぐらい。史実を踏まえたうえで、そういう(コミカルな)ところを書くんだよ。三谷(幸喜)さんは、上手やなあ。脚本を読みながら、プッて吹いています。