銀幕裏の声

トランプ爆弾発言「メキシコ国境に壁を」は正しい!? 麻薬戦争描いた「カルテル・ランド」から見える米国人の本音

【銀幕裏の声】トランプ爆弾発言「メキシコ国境に壁を」は正しい!? 麻薬戦争描いた「カルテル・ランド」から見える米国人の本音
【銀幕裏の声】トランプ爆弾発言「メキシコ国境に壁を」は正しい!? 麻薬戦争描いた「カルテル・ランド」から見える米国人の本音
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 「米国とメキシコの国境に壁を築く。建設費用はもちろんメキシコ持ちだ!!」。こんな過激な公約を掲げ、米大統領選に名乗りを上げたドナルド・トランプ氏。「3000キロの国境に壁を作るなどばかばかしい」と揶(や)揄(ゆ)した常識派の声をものともせず、共和党候補の指名を確実にした。公開中の映画「カルテル・ランド」はまさにトランプ氏が争点に掲げたこの国境で現在繰り広げられている麻薬戦争をテーマにしたドキュメンタリー。麻薬カルテル対メキシコ自警団、米自警団の構図は想像以上に複雑で深刻だ。「トランプ氏が大統領になってもおかしくない」と分析する米大統領研究者の阪大外国語学部非常勤講師の西川秀和さんに「カルテル・ランド」が描く社会背景を聞いた。(戸津井康之)

敵味方入り乱れ“戦場”のような国境

 「トランプ氏が国境に壁を作ってその費用をメキシコに払わせるというのはある意味、正しい。メキシコ社会の問題のせいで米国社会にも深甚な影響が及んでいるからです」。西川さんは冷静にこう語る。

 麻薬密売で得た巨額の軍資金を使い、国境地帯の街を不法占拠する麻薬カルテルに対抗するため、マシンガンなどを手に自警団を組織するメキシコの一般市民。一方、米国側もだまっていない。こちらも武装した一般市民が自警団を結成し、メキシコからの麻薬流入や不法移民を取り締まる。無法地帯と化し、銃撃戦は日常茶飯。敵味方入り乱れた戦場のような国境の実体を「カルテル・ランド」は淡々と描く。

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