人気再燃!イケメン「東郷青児」 色あせない昭和ブルーの美人画

 画風の異なる美人画の大小2種類(2800円、3300円)。ネットショップには「缶だけ売って」との要望も寄せられている。

 昭和37年。現在の社名にリニューアル・店舗増築した際にデザインを依頼したもので、大食堂にも巨大な壁画を描いてもらったそうだ。「うちのような一介の洋菓子屋に、お弟子さんを引き連れ制作された。最後の目のところは必ず先生が筆を入れたと、父から聞いています」と森弘治会長(74)。

 壁画は建て替えの際にスペースの問題で手放したが、缶の原画は喫茶室に飾ってあった。「私どもには流行を追いかける家風はありません。あんこもパンもケーキもずっと同じ製法で作っています。いつ見ても飽きることのない先生の美人画から、何か教えられている気がするんです」と森会長。

 一方、東急線自由が丘駅近くの洋菓子店「モンブラン」(東京都目黒区)に入ると、縦1・8×横7・5メートルの壮大な油彩画「四季」のブルーに圧倒された。日本のモンブランケーキ発祥店は、青児の美人画にひたれる店でもある。

 昭和8年創業。初代の迫田千万億(ちまお)氏と青児が同じ鹿児島生まれという縁で親交を深め、デザインを依頼した包装紙や箱の美人画から、昭和初期のモダンな空気が伝わってくる。

会員限定記事会員サービス詳細