日本市場開拓狙う現代自、EV・FCVが生む新しいライフスタイル体験ツアー展開

現代自動車の電気自動車(EV)「IONIQ5」(手前)=東京・大手町(酒巻俊介撮影)
現代自動車の電気自動車(EV)「IONIQ5」(手前)=東京・大手町(酒巻俊介撮影)

韓国・現代自動車が、日本の乗用車市場の開拓に動き出している。今月から、走行時に二酸化炭素を排出しない「ゼロエミッション車」(ZEV)が生み出す新しいライフスタイルを体験できるツアーの参加者を募集。抽選に当たると、都会を離れて自然の中で電気自動車(EV)の「IONIQ5」(アイオニックファイブ)や燃料電池車(FCV)の「NEXO」(ネッソ)を運転し、野菜の収穫や料理、キャンプなどを楽しめる。ブランド力や知名度で劣る日本市場で顧客獲得につなげる狙いがある。

現代自動車の燃料電池車(FCV)「NEXO」=東京・大手町(酒巻俊介撮影)
現代自動車の燃料電池車(FCV)「NEXO」=東京・大手町(酒巻俊介撮影)

長野県野沢温泉村で25、26日に開催される1泊2日のツアー「水の惑星で遊ぶ―Play in the Water planet―」は、衣食住をスタイリングするライフスタイリスト、大田由香梨さんがコーディネーターを務める。

ライフスタイリストの大田由香梨さん(現代自動車の日本法人PR事務局提供)
ライフスタイリストの大田由香梨さん(現代自動車の日本法人PR事務局提供)

NEXOで森林を自由にドライブし、自給自足キャンプを体験。野沢温泉村の旬の野菜をふんだんに使ったスペシャルメニューなどを提供する。走行時に水しか排出しないFCVにちなみ、日本法人PR事務局は「水の循環、暮らしの循環を体感していただき、この体験がサステナブル(持続可能)な未来の暮らしのヒントになれたら」と期待する。

1組3人まで参加でき、専用サイトで19日まで応募を受け付け、20日に当選を連絡する。

現代自動車の電気自動車(EV)「IONIQ5」=東京・大手町(酒巻俊介撮影)
現代自動車の電気自動車(EV)「IONIQ5」=東京・大手町(酒巻俊介撮影)

これに先立ち18、19日に相模原市の農園レストラン「藤野倶楽部 百笑(ひゃくしょう)の台所」で開催されるツアー「IONIQ5 Food Tour」は、農家兼シェフの五十嵐創(つくる)さんがコーディネート。IONIQ5を運転するだけでなく、車両から電気をキッチンに給電。畑で野菜を収穫し、料理ができる。こちらの募集はすでに締め切った。

現代自は平成13年に日本の乗用車市場に進出したが、販売不振のため、わずか8年で撤退。今年から、EVやFCVに特化して再参入した。JR原宿駅(東京都渋谷区)の近くに2月から5月まで期間限定の店舗を開設。IONIQ5の運転席に乗り、前・左右のビジョンを見ながら先進運転支援システムなどを体験できるドライビングシアターや、NEXOから排出される水で水分補給する植物を配置した空間などが来場者を楽しませた。

日本市場では5月以降、トヨタ自動車や日産自動車など国内勢が新型のEVを相次いで投入。脱炭素への関心の高まりを追い風に、現代自もしたたかに商機をつかみたい考えだ。

会員限定記事会員サービス詳細