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令和のアオハライド、「原作忠実」で疾走 出口夏希&櫻井海音

WOWOWドラマ「アオハライド」に出演する出口夏希(左)と櫻井海音(三尾郁恵撮影)
WOWOWドラマ「アオハライド」に出演する出口夏希(左)と櫻井海音(三尾郁恵撮影)

WOWOW「アオハライド Season1」 金曜午後11時

吉岡双葉(出口夏希)と、田中洸(櫻井海音)は中学の同級生。お互いひかれ合っていたが、ある日突然、洸は転校してしまう。高校生になり、ガサツな女子として振る舞うようになった双葉の前に、洸に似た男子が現れた。しかし、彼は〝馬渕〟と呼ばれていて…。

「青春」を〝アオハル〟と読むきっかけになったとされる、累計発行部数1300万部超の大ヒット漫画が原作。今回、WOWOW初の本格青春ラブストーリーとして、全13巻の内容が2シーズンで描かれる。

中学生の頃からの原作ファンだという出口は、「自分が双葉を演じるなんて信じられなかった」と振り返る。すでに別キャストでアニメ化、実写映画化もされている作品。プレッシャーを感じながら、全てを見直し、自分なりの双葉像を模索するところから始まった。「双葉は元気で真っすぐ、いかにも〝漫画のキャラクター〟な性格。原作に忠実に、だけど実写で浮かないよう、リアリティーを求めた」。だが、「演じようと思うと、元気の出し方すら分からなくなって…」。試行錯誤し、結果的にその苦しみがキャラクターに奥行きを与えた。今では、「どこを切り取っても〝青春〟を感じられる作品になった」と胸を張る。

双葉と洸はお互いにひかれ合っていたが…
双葉と洸はお互いにひかれ合っていたが…

出口が情熱で役にアプローチしたとするなら、櫻井は冷静な分析力で肉薄していった。「今のWOWOWでしか作れない映像というのを意識していたので」、アニメや映画はあえて見ず、撮影現場用に電子書籍、家用に紙の漫画本、両方の媒体で全巻をそろえ、ことあるごとにページをめくり、洸の心情やしぐさを自身の動きと照らし合わせた。漫画のコマ内における手の角度にまで注意を払ったという。「僕は憑依ができるタイプではない。映像化にあたり、静止画であるコマとコマの間を埋めていく作業を、頭の中に洸をイメージして臨んだ」。そんな櫻井は、8話の文化祭のシーンがお気に入り。読者へのメッセージは、「絶対に最後のクレジットを見てほしい」。

「原作に忠実でありたい」と願う2人にとって心強いのが、原作者が撮影現場を訪れ、演技中のモニターを見て、ずっとうなずいていたことだ。「咲坂伊緒先生に認めてもらえ、うれしくて泣きそうになった」。その感激とともに、令和のアオハライドが疾走する。(三宅令)

でぐち・なつき>平成13年、中国出身。今年1月配信のドラマ「舞妓さんちのまかないさん」(ネットフリックス)で、森七菜とダブル主演。

さくらい・かいと>平成13年、東京都出身。情報バラエティー「王様のブランチ」(TBSテレビ)レギュラー出演中。

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