顔面や股間を平手打ち、炎を体に…元横綱白鵬の宮城野親方、弟子の暴行の一部報告せず

宮城野部屋で取材に応じる宮城野親方(元横綱白鵬、左)と幕内北青鵬=23日午後、東京都墨田区
宮城野部屋で取材に応じる宮城野親方(元横綱白鵬、左)と幕内北青鵬=23日午後、東京都墨田区

日本相撲協会は23日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、弟子の幕内北青鵬(22)=本名アリューナー・ダワーニンジ、北海道出身=の暴力行為に対する監督義務違反で、宮城野親方(元横綱白鵬)を委員から年寄への2階級降格と、3カ月の20%報酬減額とする処分を決めた。後輩力士への日常的な暴力行為が問題視された北青鵬は23日までに引退届を提出。理事会は受理した。

日本相撲協会に提案する師弟の処分案をコンプライアンス委員会がまとめる過程では、宮城野親方について「相撲協会から排除すべきではないか」との厳しい意見まで出たという。

コンプラ委の調査によると、北青鵬は1年以上に渡り、弟弟子2人に週数回の暴行を繰り返していた。内容は顔面や股間への平手打ちや、殺虫剤のスプレーに点火し、放射される炎を体に近付ける-など。宮城野親方は暴行の一部を事前に知りながら協会に報告していなかった。また、部屋内で、「親方が被害を受けた弟子を軽んじ、加害者である関取は不問に付される」との認識が広まっていたとも指摘された。

親方の指示や依頼までは認められなかったものの、部外者による部屋の力士への「口止め」があったことも認定された。

一連の責任を重く見た相撲協会は、コンプラ委の処分案を受け入れたうえで、春場所では宮城野部屋に師匠代行を立て、4月以降は同部屋を一門預かりとすることを決めた。これは宮城野親方に「師匠失格」を言い渡したに等しい。

大相撲の未来は決して明るいわけではない。スポーツの多様化や少子化の影響もあり、初場所の力士数は599人と、45年ぶりに600人を下回った。にも関わらず、暴行事案は後を絶たない。若手の親方衆が新弟子のスカウトに奔走しても、業界全体として敬遠されてしまうのではないか。

宮城野親方は子供の相撲大会「白鵬杯」を創設するなど普及活動にも尽力していただけに今回の件は残念でならない。(宝田将志)

宮城野親方は2階級降格 暴力行為の北青鵬は引退

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