お別れ会で妻、和枝さんへの愛を涙ながらに切々と訴えた柄本(左)。長男の佑、次男の時生も悲しみに暮れた=東京・北沢(撮影・中井誠)
ギャラリーページで見る 俳優、柄本明(70)の妻で昨年10月27日に原発不明がんのため死去した女優、角替和枝さん(享年64)のお別れの会が30日、東京・北沢タウンホールで行われ、女優、大竹しのぶ(61)、俳優、笹野高史(70)ら親交の深い芸能人や一般ファンら約650人が参列した。柄本は弔辞で和枝さんへの愛情を吐露。結婚の経緯について「僕のひと目ぼれ」と明かし、「悲しい、さみしい、不条理…。それを糧に生きていくと思う」と涙ながらに愛妻に誓った。
柄本夫妻が結婚前から約40年暮らした東京・下北沢。2人にとって愛着のある演劇の街で、柄本が和枝さんの死去後、初めて心境を明かした。
数年前、自宅近くの喫茶店で友人の写真家、浅井慎平氏(81)が撮影した柔和に微笑む遺影の前に、柄本は長男の佑(32)と次男の時生(29)と一緒に立った。「和枝ちゃん…」と優しく呼びかけると、「とにかく残念です」と喪失感を吐露した。
1980年に結婚した夫妻は劇団・東京乾電池の先輩と後輩。当時座長だった柄本は出会いについて「僕のひと目ぼれでした」と明かすと涙があふれ、「正直の上にバカがつくくらい(バカ正直で)、天然でいい人でした」と声を震わせた。
結婚前から毎朝、一緒に近所の喫茶店に行くのが日課で、長いときは約2時間、演技の話などで盛り上がった。幸せだった日々をかみしめながら「もう和枝ちゃんと、喫茶店に行けないんです」とポツリ。和枝さんとの間にもうけた佑と時生、長女(35)について「3人ともとても思いやりのある良い子です」と訴えると、最後は「悲しい、さみしい、不条理…。それを糧に生きていくと思う」と涙に暮れた。