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2022/09/02

当時人気絶頂だった田原俊彦が沖田総司を熱演した本格時代劇

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新選組一番隊組長として幕末に活躍しながら、肺結核によって若くして病死したと伝えられる沖田総司。凄腕の剣客でありながら、明るく爽やかな性格であったという沖田は、新選組を描いたフィクション作品においては、「絶世の美男」という描かれ方をすることが多い。

実際の彼の容姿については写真などが残されておらず不明なのだが、一説には司馬遼太郎の小説『燃えよ剣』に「ちょっと色小姓にしたいような美貌である」という記述があったことから、沖田=イケメンというイメージが定着したと言われている。結核で夭折したという悲劇性もあり、新選の映画やドラマにおける沖田総司役は、イケメン俳優が演じることが定番となっていった。

沖田総司を演じた歴代の俳優としては、草刈正雄、東山紀之、武田真治、藤原竜也といった顔ぶれが並ぶ。1984年に日本テレビ系で放送されたドラマ「燃えて、散る 炎の剣士 沖田総司」では、田原俊彦が主人公の沖田を演じている。新選組を描いた作品は数多いが、近藤勇や土方歳三に焦点を当てたものが中心で、沖田が主役になったケースは実は多くない。そんな中で、本作は新選組結成以前の血気盛んな時代の沖田に焦点を当てた意欲的な作品だった。

主演を務めた田原は、当時まさに人気絶頂のトップアイドルであり、同年2月に発売した「チャールストンにはまだ早い」をはじめ、この年に出したシングルはすべてオリコンのトップ2にランクインしている。俳優としても、「3年B組金八先生」(1979年)以降、数多くのドラマや映画において活躍し、演技力にも磨きをかけていた。

本作では、三船プロダクションが制作したこともあり、名優・三船敏郎が沖田の剣術の師範である近藤周斎役で出演、土方歳三を柴田恭兵、近藤勇を若林豪が演じるなど実績十分な芸達者がそろっていた。

ストーリーを紹介すると、近藤周斎(三船敏郎)が開いた試衛館道場は、周斎の養子・勇(若林豪)や土方歳三(柴田恭兵)らの剣客を抱え、その名は江戸市中に鳴り響いていた。門弟の中でも早くから天才と言われたのが沖田総司(田原俊彦)。ある晩、勇と歳三は総司と共に強盗を捕まえ、賞金を稼いで試衛館の食費の足しにしようとする。だが、この時総司は誤って強盗の一人を斬り殺してしまった。初めて人を斬って動揺する総司を慰めようと、歳三は吉原の遊郭に連れて行く。そこで総司は思いがけない女と再会。3年前に役人に追われているところを助けてあげた女・いしが遊女となって妓楼の中にいたのだ...。

従来の新選組作品とはやや趣が異なり、沖田総司を中心にエンターテインメント色を強めた痛快な時代劇となっている。田原は時代劇においても、持ち前の身体能力を発揮して熱演。特にしっかり稽古を積んだと思わせる殺陣の迫力は見ごたえ十分で、剣を振るう姿もさまになっている。顔つきも凛々しく、ナイーブさを感じさせる純真な若き剣士の沖田のイメージにもふさわしい。また脇を固める柴田や若林らの男臭さとの対比も見どころで、完成された大人の男の魅力を発揮する若林らに対して、未熟さを感じさせながらもたくましく成長していく姿に視聴者は惹かれるはず。やがて病気を患って以降のストーリー展開は一挙に悲劇性を増していくのだが、そんな場面でも田原は全力で演じており、改めて俳優・田原俊彦のポテンシャルを感じさせる作品となっている。

田原には時代劇のイメージはあまりないかもしれないが、本作を見れば後に時代劇俳優として開花していく東山紀之らのジャニーズ事務所の後輩たちにも先鞭をつけていたことがわかる。田原俊彦のファンはもちろん、目の肥えた時代劇好きな人にも楽しめる作品となっている本格時代劇「燃えて、散る 炎の剣士 沖田総司」が、時代劇専門チャンネルで9月4日(日)13:45より放送される。若き田原が演じる沖田総司の凛々しさをぜひ堪能してはどうだろう。

文=渡辺敏樹

放送情報

燃えて、散る 炎の剣士 沖田総司
放送日時:2022年9月4日(日)13:45~
チャンネル:時代劇専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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