弊社が提供するフリーのマイクロアレイ発現解析用ソフトウェアでは、どなたでも簡単に弊社マイクロアレイのデータの解析ができます。
前回の「こんなに簡単!マイクロアレイ解析のフリーソフトをダウンロードする方法」ではフリーソフトウェアTAC(Applied Biosystems™ Transcriptome Analysis Console)をダウンロードする方法をご紹介しました。今回は弊社が用意しているサンプルデータをダウンロードし、そのファイルをソフトウェアで解析する方法について見ていきましょう。
サンプルデータのダウンロード
ユーザー登録をしよう
TACに取り込ませるためのサンプルデータをダウンロードするためには、弊社のWebサイトにてアカウントのユーザー名とパスワードの入力が必要です。アカウントが未登録の場合は、以下のリンク先からご登録をお願いします。
ThermoFisher.com アカウント登録
ご登録後、必ずサインインした状態でサンプルデータのダウンロードページに移動してください。
サンプルデータをダウンロードしよう
弊社では、解析ソフトウェアでさまざまなデータ解析を試せるように、Webサイトから自由にサンプルデータがダウンロードできるようになっています。今回は発現解析用のマイクロアレイの中で多くの方に選ばれているApplied Biosystems™ Clariom™ Sのデータをダウンロードしてみましょう。
ヒト用Clariom Sの製品ページを開いたら、ページ中ほどの「参考資料」の位置までスクロールしてください。
「参考資料」内の右側のカラム「Support files」の最下部にある「続きを表示する」をクリックすると、下記のファイルが見つかります。
これが、Clariom S ヒト用のサンプルデータです。
ダウンロードする時は、リンク上で右クリックして「新しいタブで開く」をクリックしてください。
これでダウンロードが開始します。
ダウンロードしたファイルはzipファイルになっていますので、ファイルの上で右クリックし「すべて展開」を選択し、ファイルを解凍してください。なお、展開を行う際のフォルダパスに日本語名が含まれないよう注意しましょう。日本語名が含まれたパス内のフォルダに入っていると、TACからCELファイルを呼び出すときにエラーになることがあるためです。
zipファイルの中には「AGCC CEL File」と「ARRファイル」という2種類のファイルが入っています。このうち、解析に使うのは「AGCC CEL File」です。
これでサンプルデータの準備ができたので、前回のブログでインストールしたTACを使って、いよいよデータの取り込みを開始しましょう。
CELファイルを用いて解析開始!
TACを立ち上げ、「New Analysis」のタブから「Import CEL Files」を選択します。
ブラウザが開くので、先ほどダウンロードしたCELファイルをすべて選んで「開く」ボタンをクリックしましょう。これで、TAC画面には下図のようにCELファイルがインポートされました。
次にConditionの「Type」で「Comparison」を選びます。
その後、Condition列の下、File Nameの右側のセルに群の名前を入れましょう(下図参照)。
群名を入れる時は、キーボードのShiftまたはCtrlキーで複数選択した状態で文字を入力すると、複数選択されたセルのすべてに同じ群名を入れることができます。
同じ操作を繰り返し、すべてのセルに群名を入力します。
ここまで入力を終えたら、画面左下の「Result Name」に解析のファイル名を入力します。Result Nameはデフォルトでは「Analysis_1」のように番号が振られていくだけですので、何をいつ解析したかがわかりません。デフォルトのままではなく、「いつ」「どのアレイで」「何を」解析したのかわかるように、「日付」「アレイ名」「サンプル名」などを入れるようにしましょう。
最後に解析ファイルを保存するフォルダ(Output Folder)を設定します。
ここで日本語名のフォルダを指定してしまうとエラーになりますので、ご注意ください。
ここまで来たら準備完了です。
TAC画面上には上記でご紹介した以外にもいくつかのボタンがありますが、ここでは最低限の設定だけご紹介しました。
さて、それでは解析を開始しましょう。右下の「Run Analysis」をクリックすると解析が始まります。
解析が始まると、下図のようなウィンドウが現れます。
N数や群数、またパソコンのスペックにもよりますが、Clariom SでN=3、4群のサンプルデータの解析では、約45秒~2分程度で解析が終了します。
まとめ
今回はサンプルデータをダウンロードして、そのCELファイルから解析を行うところまでご紹介しました。
次回は「フリーのマイクロアレイ解析ソフトを使って解析データに異常がないか確認してみよう!」です。引き続きTACソフトウェアを用いた発現解析データのQC(クオリティチェック)について見ていきましょう。
TACを用いたデータ解析の準備と手順(動画)
このブログ内容の一部が、動画でご覧いただけます。
マイクロアレイの手引き
DNAマイクロアレイは登場してからすでに20年が経ち、同じように網羅的な発現解析が出来る次世代シーケンサーの普及もあって、熟成した技術と言えます。しかしマイクロアレイは次世代シーケンサーに比べてコスト的なメリットがあり、また解析の容易さなどから、まだまだ強力な網羅的な遺伝子発現解析が出来る技術として、近年見直されて来ている技術でもあります。
この手引きはそのマイクロアレイの原理や基礎、ワークフローなどについて学べるページです。
研究用にのみ使用できます。診断目的およびその手続き上での使用はできません。