「天才少年」の画家 80年ぶり日の目 那珂出身 22歳で死去・寺門彦寿さん 

2019年11月15日 02時00分

寺門さんの作品を前に「地元の人に彦寿さんを知ってほしい」と話す先崎さん(右)と直子さん=那珂市で

 現在の那珂市に生まれ、東京美術学校(現・東京芸術大学)を首席で卒業し、22歳の若さで亡くなった寺門彦寿(ひこじゅ)さん(1918~41年)の作品展が17日、那珂市古徳の市総合センターらぽーるで開かれる。幼いころから絵の才能を開花させ、「天才少年」と称されたものの、早世した画家を知ってもらおうと、有志や親戚が企画した。 (松村真一郎)

◆17日 親戚や有志が作品展

 寺門さんは、旧静村に生まれ、旧制水戸中学校(現・水戸一高)を卒業後、東京美術学校日本画科に入学した。小学生のころから、人物や動植物を題材にした絵に取り組み、中学時代に茨城美術展覧会に出品した際には、審査員だった水戸市出身の日本画家、横山大観から「天才少年」とたたえられたという。
 東京美術学校時代には、公募展で入選も経験し、四一年三月に首席で卒業。四月に研究科に進んだものの六月に虫垂炎で死去した。
 旧瓜連町(現・那珂市)で町長を務めた先崎(まっさき)千尋さん(76)=那珂市静=が、寺門さんの存在を父から聞いたのを思い出し、寺門さんの生家に住む親戚の寺門直子さん(77)=那珂市下大賀=宅を訪ねたところ、蔵に保管されていた多数の作品や日記を見つけた。
 菜の花を描いた作品では、葉の虫食い跡まで忠実に描写されており、先崎さんは「非常にきちょうめんな人だったと思われる」と話す。
 先崎さんらは、寺門さんの作品を那珂市に寄贈することを決め、寄贈前に寺門さんの生涯や作品を知ってもらおうと、作品展を企画した。
 作品展は、瓜連ふれあい祭の一環で、午前九時から午後五時まで開催。作品二十点や日記などが展示される。先崎さんらが編集した作品集の配布もある。
 先崎さんは「無名だが、天才少年と言われた画家がいたということを地元の人に知ってほしい」、直子さんは「八十年ぶりに作品が日の目を見るのを、彦寿さんも喜んでいると思う」と、それぞれ話している。問い合わせは、先崎さん=電029(296)0772=へ。

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