中国が新たに南沙諸島で新たに岩礁埋め立てか 領有権争うフィリピン反発 マルコス大統領訪中を前に高まる緊張

2022年12月27日 22時06分

マルコス大統領(中)=AP

 【バンコク=藤川大樹】中国がフィリピンなどと領有権を争う南シナ海で、実効支配の動きを活発化させ、フィリピンが強く反発している。南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島では、中国が新たに複数の岩礁で埋め立てを始めたことが発覚し、フィリピン国防省は軍に防衛体制の強化を命じた。年明けに予定されるマルコス大統領の中国訪問を前に緊張が高まっている。
 「法に基づく国際秩序を守り、緊張を高めるような行為を控えるよう強く要請する」。現地からの情報によると、フィリピン国防省は22日、中国による領海侵犯や埋め立てを非難する声明を発表した。
 声明は、米ブルームバーグ通信の報道を受けて出された。中国は南沙諸島のミスチーフ(中国名・美済)礁やファイアリクロス(永暑)礁など7つの岩礁を実効支配し、軍事拠点化を進めているが、ブルームバーグ通信によると、さらにエルダド礁やランキアム礁など4カ所で新たな埋め立てを始めたという。
 在フィリピン中国大使館は「フェイクニュースだ」と報道を否定。ただ、フィリピン軍西部方面隊も、海と空のパトロールにより、報道された場所の周辺で「中国の海上民兵の船が持続的に存在していることを確認した」としている。
 フィリピン国防省は、中国の動きが「(フィリピンが実効支配する)パグアサ(英語名ティトゥ)島の安全保障への脅威だ」と警戒。軍に対し、南シナ海でのプレゼンスを強化するよう指示した。
 パグアサ島沖では先月、フィリピン軍が回収していたロケットの残骸を中国海警局の船が強奪する事件が発生。パラワン島の西方で中国船団が集結しているのも確認された。
 米国務省のプライス報道官は19日に声明を発表し中国船団が「フィリピンの漁業者たちの生活を妨害している」と批判。中国に対し、オランダ・ハーグの仲裁裁判所が2016年に中国が主張する領有権の境界線を否定した判決を尊重するよう求めていた。

関連キーワード


おすすめ情報

国際の新着

記事一覧