国産かんぴょう守りたい 問屋「篠原商店」がTシャツ、バッグでアピール 後継者不足などで生産激減

2023年2月9日 08時08分

Tシャツとバッグをアピールする篠原さん夫妻

 かんぴょうの問屋「篠原商店」(栃木県壬生町)が、業務用商品「干瓢(かんぴょう)」のパッケージをあしらったTシャツやバッグを作った。生産量日本一を誇る県有数の特産品だが、農家の後継者不足などから生産量が激減、昨年春に出荷制限を余儀なくされた同社。「生産の窮状を知ってもらうきっかけになれば」と、新たな挑戦に乗り出した。(小川直人)
 Tシャツやバッグは「干瓢」の文字と屋号「マルモ」の印が目立つ。創業一九五七(昭和三十二)年の同社が古くから使う業務用のパッケージデザインだ。

業務用の同社「干瓢」

 県内は江戸時代にかんぴょうが伝来した壬生町や近隣の下野、小山市など県南地域で生産が盛ん。国産の九割以上を占める。
 重さ八〜九キロになる原料のユウガオの実(ふくべ)を機械で回し、かんなでむく製造方法は昔とほとんど変わらない重労働で、高齢化もあって生産農家は減っているという。県内の生産量は七八年の五千八十トンをピークに減少。二〇二一年は百八十七トンだった。
 こうした状況を受け、同社は昨年春に初めて出荷を制限したが、すし店など業務用のほか家庭でも需要は根強く、「購入したい」「国産を使いたい」と問い合わせが相次いだ。常務の篠原弘樹さん(50)は「国産を途絶えさせず守りたい」と強く感じたという。
 業務用パッケージは「格好いい。グッズにできる」と言われることがあり、話題作りも兼ねてTシャツなどを作った。昨年十月の「いちご一会とちぎ国体」の会場で先行販売すると好評で、一月に本格販売に乗り出した。
 グッズの販売をきっかけに、それまでは少なかった若者や年配の男性から、かんぴょうに関する問い合わせがあったという。篠原さんの妻で広報を担当する成美さんは「県産の良さや魅力を力説するお客さんもいた。人気の高さを農家の皆さんに伝えたい」と話す。

かんぴょうの製造機械。電動化以外はほとんど変化がないという=いずれも壬生町で

 生産量の回復には、種のないふくべへの品種改良や作業の自動化など農家の負担軽減が必要と指摘する篠原さんは「関心を持ってもらい、新たなアイデアなどが得られるとうれしい」と話している。
 Tシャツはブラックなどのカラーは三千五百二十円、ホワイトは三千三百円、バッグは二千五百三十円。売り上げの一部は生産振興に活用するという。問い合わせは、同社=電0282(82)0146=へ。

関連キーワード


おすすめ情報

栃木の新着

記事一覧