岸田政権の「少子化対策」、旧民主党政権が掲げた理念と共通 過去に自民は批判…立民「10年取り戻して」

2023年4月1日 20時12分

岸田文雄首相

 政府が3月31日に発表した少子化対策のたたき台は、社会全体で子育てを支えるという理念を掲げ、児童手当の所得制限撤廃など、かつて民主党政権が取り組んだり、実現を目指したりした政策が盛り込まれている。当時の主力メンバーが所属する立憲民主党は「掲げた理念や方向性は間違っていなかった」と主張する。

◆所得制限ない「子ども手当」を中止させた自民

 民主党は2009年の衆院選で「社会全体で子どもの育ちを支援する」として、ゼロ歳から中学生までの全員に月額2万6000円を支給する子ども手当の創設を公約。政権交代後、所得制限のない月額1万3000円の手当を導入した。

2009年の衆院選で当時の民主党が示したマニフェストの表紙

 これに対し、育児における家庭の役割を重視する野党・自民党は「ばらまきだ」と批判。10年の参院選に勝利し、衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」に持ち込んだ後、所得制限がある児童手当を復活させた。
 それから10年余り、政府がまとめた今回のたたき台では「社会全体でこども・子育てを支えていく」ことの重要性が強調されている。民主党マニフェストに明記されていた項目では、出産の経済的負担の軽減や雇用保険の適用拡大などがある。出産育児一時金の増額、子ども・子育て政策の司令塔となる省庁新設などは、自民、公明両党の政権復帰後に実現した政策だ。
 立民の長妻昭政調会長は3月31日、たたき台発表を受けて記者団に「社会全体でこども・子育てを支える理念を明確化したのは遅すぎると強い憤りを持つが、政府・自民党にはこの遅れた10年を取り戻すように急ピッチで(少子化対策を)進めてもらいたい」と語った。(曽田晋太郎)

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