高尾山と人々が紡ぐ物語 日本遺産 都内初、文化庁が認定

2020年6月21日 08時00分

高尾山で行われている火渡り

 地域の歴史的な魅力や特色を紡いだ「ストーリー」を文化庁が認定する制度「日本遺産」に、八王子市が申請した「霊気満山 高尾山〜人々の祈りが紡ぐ桑都(そうと)物語〜」が都内で初めて選ばれた。コロナ禍で観光需要が陰りを見せる中、関係者は今後の観光客誘致に期待を寄せている。 (布施谷航)
 古くから養蚕や織物が盛んで「桑都」と称され、伝統文化が受け継がれている八王子。戦国時代の武将、北条氏照が礎を築き、今に至るまで高尾山が歴史と伝統を見守っている−。市は二〇一八年から担当グループを立ち上げ、地域独特の財産を掘り起こしながら、ストーリーづくりを進めてきた。
 「信仰と山」をテーマにした日本遺産は他の地域でも申請や認定があり、市は独自性を出すのに苦慮。八王子城跡や高尾山薬王院、八王子車人形など二十九の文化財を元に、歴史や文化をつなぎ合わせた。
 中でも「八王子芸妓(げいぎ)」「火渡り祭」「水行道場」など、現地を訪れた人が体験できる無形の文化財を取り入れたのが特徴だという。
 文化庁は、日本遺産の認定目標を「百件程度」としており、今回で到達したため新規の募集は当面行わない。滑り込みの認定となり、市日本遺産推進担当課長の平塚裕之さんは「歴史マニアだけでなく、幅広い層が訪れたくなるような魅力を訴えることができた」と胸をなで下ろす。
 石森孝志市長は「豊かな自然と歴史文化は市民の誇り。今後も八王子の魅力を内外に発信したい」とコメントした。

北条氏照が居城としていた八王子城跡(いずれも八王子市提供)

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