Googleは何を「独占」しているのか 元司法省幹部が解説 米議会で27日に公聴会
2020年7月21日 06時00分
米議会は、GAFAと呼ばれる巨大IT企業4社(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の経営トップの公聴会を27日に開く。中でも注目を集めるのは、司法省が今夏にも反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴すると米メディアに報じられているグーグルの対応だ。無料のネット検索を運営するグーグルの問題点について、オバマ政権で司法省のチーフエコノミストを務めたエール大のモートン教授に解説してもらった。(ワシントン・白石亘)
◆排他的な契約でスマホに標準設定
検索エンジンの収益源は広告です。利用者が増え、人々が何を検索しているか学習する機会が多くなるほど、より関連性の高い検索結果を表示できるようになるため、広告の価格も高くなることを理解する必要があります。
グーグルが問題視されるのは、自社の検索・閲覧ソフトを標準設定してもらう排他的な契約をスマートフォンのメーカーと結ぶなど、ユーザーをライバルから遠ざける戦略を取ったからです。初期設定を変えない人も多く、競合する検索エンジンは規模を拡大できなくなりました。
もうひとつが買収です。優れた地図アプリ「グーグルマップ」を持っているのに、イスラエルの地図アプリ「ウェイズ(Waze)」を買収したのは、ウェイズにライバルの手が届かないようにし、リードを維持するためでしょう。他にもデジタル広告の売買を仲介する企業の買収を進め、健全な競争が働かなくなりました。さらに、傘下の動画投稿サイト「ユーチューブ」に広告を出す広告主に対し、グーグルが持つ広告取引のツールを使うように強制し、競合する広告会社を排除しました。
◆市場シェア9割 手数料は高止まり
英国当局の調査によると、グーグルの市場シェアはサイト運営者が広告枠を売るのに使うツールの9割、企業が広告枠を買うのに使うツールの9割に上ります。独占的な立場にあるグーグルに依存せざるを得なくなることで、グーグルが得られる手数料は高止まりし、サイト運営者などの広告収入は減少、消費者にも悪影響が及びます。
例えば、期待する売り上げの半分しか得られなければ、料理サイトならレシピの数が少なくなります。ニュースサイトなら記者を多く雇えず、記事が減ります。消費者向けのコンテンツが減少するのです。
司法省が提訴に踏み切れば、グーグルなどプラットフォーマーにも独禁法を適用する道がようやく開かれます。グーグルは世界で事業を展開し、各国の規制当局も懸念を抱いています。訴訟の結果によっては、日本の消費者も影響を受ける可能性があります。
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