多摩動物公園昆虫園本館1階のグローワーム展示室では、暗闇の中グローワームが放つ何百もの青白い光を見ることができます。
グローワームとは、オーストラリアとニュージーランドの洞窟や鍾乳洞に生息しているヒカリキノコバエの幼虫です。
幼虫は腹部の先端を光らせて、餌になる小さな虫をおびき寄せます。おびき寄せられ飛んできた虫は、粘糸でできたグローワームの巣にくっつくと食べられてしまいます。
先日、展示室内に一体どれだけの幼虫がいるのか数えてみたところ、天井と壁面合わせて700匹以上の幼虫を確認することができました。
飼育にあたっては、温度・湿度に気を配り、幼虫のいる天井・壁面をエリア分けし、毎日少しずつ給餌場所を変えながら餌(ショウジョウバエ)を個別に与えています。
幼虫の光をより楽しむためにはコツがあります。目が暗さに慣れてくると光がよく見えるので、展示室に入ったら、幼虫の姿を想像しながら、しばらく光を探してください。すると、最初は見えなかった小さな幼虫のかすかな光まで見えてきます。
この季節、それはもうまるで「冬の星座」のようで、目の前の光のすべてが生きている昆虫だとは思えない幻想的な光景です。
今年の冬は、グローワームが放つ美しい光を堪能しながら、昆虫の不思議を感じてみてはいかがでしょうか。
※グローワームの展示時間
平日: 午前9時30分から午後3時30分
土日祝日:午前9時30分から午後4時30分
写真上:展示室の天井からシャンデリアのようにぶら下がる粘糸。周囲に青白い光が見える
写真下:(左)幼虫(右)成虫
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 吉川道子〕
(2010年11月12日)
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