ニュース
昆虫標本保管の話
 └─多摩  2009/08/21

 昆虫の標本は、基本的には「形を整えて、乾燥させて」作製します。当然、高い湿度は禁物です。湿度が高いとカビが生えることがあります。多摩動物公園昆虫園でも、標本を置いてある部屋の湿度は調節されています。

 乾燥させてあっても、カツオブシムシや一部のダニのなかまにとって、昆虫の標本は「ご馳走」なので、その対策も必要です。昆虫標本専用の箱は気密性がかなり高いのですが、それでも万全ではないので、標本箱に防虫剤を入れておきます。昆虫園ではナフタレンを防虫剤として使用しています。ただし、防虫剤は徐々に揮発してなくなってしまうので、ようすを見て補充する必要があります。

 また、日光や照明は標本の色があせる原因になります。そのため、標本展示室は少し照明を落としてあります。

 夏休みに昆虫標本をつくった皆さんもいらっしゃると思います。標本箱をしまいっぱなしにしていると、害虫やカビに気づかず、標本をだめにしてしまう可能性が高くなるので、ときどき確認することが標本を長持ちさせる秘訣です。

写真上:50年以上前のサカハチチョウ標本
写真下:標本ラベル

※なお、写真の標本は展示していません。

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 石島明美〕

(2009年08月21日)



ページトップへ