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ジュリアン・ムーア、進化するトップ女優の美の軌跡。

映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』でスパイ組織のボスを演じ、その弾けっぷりが話題のジュリアン・ムーア。80年代から現在まで、ハリウッドの最前線で活躍してきた彼女ももう57歳。キャリアに合わせてヘア&メイクを自在に変えてきた彼女のビューティヒストリーに迫る。

トレンドはお手の物、ハリウッッドイチのエイジレスビューティ。

Photos: INSTARimages,Everett Collection/AFLO

コメディからサスペンスまで、さまざまな作品で印象的な演技を見せてきたジュリアン・ムーア。演技力はさることながら、その美貌も年々円熟味が増している。それを顕著に表しているのが、時代ごとに彼女が取り入れてきたヘア&メイク。2001年(左)と最近(右)の写真を比べてみても違いは一目瞭然だ。

映画『ハンニバル』で注目を集めた2001年頃は、細眉×ベージュリップ、シャギーヘアで当時の流行を網羅。スタイリッシュな雰囲気が、彼女の生まれ持った品の良さを際立てている。一方、最新作『ワンダーストラック(原題)』のプレミアでは、ブラウンのスモーキーアイズに淡いピンクのチークとリップで春色メイクを先取り。無造作感のあるまとめ髪も、ここ数年トレンドのエフォートレスをシックにアップデートしている。

25歳、バブル期のヘア&メイクをクラッシーに昇華。

Photo: Everett Collection/AFLO

ジュリアンの名を世界的に知らしめた1992年の映画『ゆりかごを揺らす手』でのワンシーン。劇中ではボリューミーなボブヘアにレッドリップで、不動産会社の女社長を熱演。ともすると老けて見えそうなヘア&メイクも、彼女が取り入れればフレッシュかつ知的な雰囲気に。時代はちょうどバブル期の終わり。落ち着いた魅力によって新たな女性像を印象付けている。

43歳、幸せに満ち溢れたウエディングメイク。

Photo: Splash/AFLO

2003年に長年交際してきたバート・フレインドリッチ監督と再婚したジュリアン。8月には当時1歳と5歳だった娘と息子を伴い、アットホームで和やかな結婚式を行なった。ヘア&メイクも、ライラック色のドレスに合わせて、白のシャドウとピンクリップでピュアな雰囲気に。ナチュラルなストレートヘアも相まって、花嫁の喜びを等身大で表現している。

47歳、神々しい美しさを放つブロンドヘア。

Photo: INSTARimages/AFLO

2007年には映画『ブラインドネス』の役作りで、トレードマークの赤毛をブロンドヘアへとチェンジ。この時すでに世界三大国際映画祭で女優賞を制覇し、ハリウッドで不動の地位を築いていた彼女だけに、その溢れる自信が輝く髪にも表れているよう。すっきりとしたミディアムボブも無駄のないフォルムで、研ぎ澄まされた美を強調している。

48歳、モード界でも輝くエレガントなヘア&メイク。

Photo: KCS/AFLO

2008年に「イヴ・サンローラン」のショーでキャッチされた時のジュリアン。再び赤毛に戻し、ナチュラルなロブヘアで大人の魅力をアピール。アイメイクも、カッパー色のシャドウで髪色と同じカラーパレットに。素肌感のあるベースメイク、シアーなグロスと、その他にヌケ感を出したことが軽やかさのカギとなっている。この時、ちょうどトム・フォードの初監督作『シングル・マン』への出演が取りざたされた頃。何気ないヘア&メイクにも個性が宿るジュリアンに、モード界が注目するのも頷ける。

51歳、年齢を超越したロマンティックなピンクメイク。

Photo: Press Association/AFLO

毎年テーマに合わせて、話題のモデルや女優を取り上げる「ピレリ」社のカレンダー。ジュリアンも度々登場し、そのエイジレスな美しさが話題になっている。2011年に行われた「ピレリ」社のパーティでも、カレンダーそのままの美貌を披露。シャドウ、リップ、チークと、全てピンクで統一したメイクは、アラフィフとは思えない若々しさだ。とはいえ、決して若作りした印象がないのがすごいところ。色浮きしそうなオールピンクのメイクなのに、逆に可憐な魅力を引き出している。

55歳、念願のオスカーをゲットした勝負ヘア&メイク。

Photo: Shutterstock/AFLO

2015年に映画『アリスのままで』でアカデミー賞主演女優賞を獲得したジュリアン。これまであらゆるアワードを総なめしてきた彼女が、唯一ゲットできていなかったのがオスカー。それだけに、授賞式でのヘア&メイクもこの日にかける意気込みが伝わるようなゴージャスさだった。カッパーブラウンのシャドウにボルドーリップ、ピンクのチークと、メイクは貫禄と気品溢れる配色。一方ヘアは、コンパクトなシニヨンで華美さを抑え、メイクや表情の引き立て役にしている。レッドカーペットの深い赤とリンクさせたようなヘア&メイクは、今後もますます進化する彼女の女優魂を象徴している。

プロフィール
1960年12月3日、アメリカ・ノースカロライナ州生まれ。両親の仕事の関係で、幼い頃からアメリカ国内とドイツを転々とし、ドイツで高校在学時に演劇部の顧問の薦めで本格的に演技を学び始める。1985年にTVドラマ出演のチャンスを掴んだのを足掛かりに、ブロードウェイまで活躍の場を拡げる。1988年に『As The World Turns』でエミー賞に輝く。その後は「羊たちの沈黙」の続編『ハンニバル』など、ヒット作に出演。2002年には『エデンより彼方に』でヴェネツィア国際映画祭女優賞、ベルリン国際映画祭女優賞、カンヌ国際映画祭女優賞の世界三大国際映画祭すべての女優賞を制覇する。さらに2014年には『アリスのままで』で、念願の第72回ゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)、第87回アカデミー賞主演女優賞をW受賞する。プライベートでは26歳の時に俳優&プロデューサーのジョン・グールド・ルビンと結婚したが、7年後に離婚。現在は、2003年に再婚した映画監督のバート・フレインドリッチとの間に2人の子を持つ。

Text: Rie Maesaka  Editor: Rieko Koai