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信託報酬が年0.1%を下回るJ−REITアクティブファンド、分配金利回りに着目して年4回決算型で登場

2024/04/03 18:36

 SBIアセットマネジメントは、J−REITに投資するファンドで最安コストの「SBI・J−REIT(分配)ファンド(年4回決算型)」(愛称:SBI日本シリーズ−J−REIT(分配))を5月8日に新規設定する。当初募集が4月19日に始まる。J−REIT市場は、史上最高値を更新した国内株式市場と比較して、大きく出遅れた資産として注目されている。その中から、配当利回りの高さに着目し、アクティブに投資対象を選定するファンドとして信託報酬率は年0.099%(税込み)と異例の低さを実現している。これは、J−REITを投資対象とした投資信託の中で、インデックスファンドも含めて最安の運用コストになっている。新NISAの成長投資枠の対象ファンドとして届け出がされる予定だという。非常に低い運用コストで、株式と比較して出遅れているJ−REITに、年4%を超える高い配当利回りで投資できるファンドとして注目される。

 J−REIT(国内不動産投信)市場は、2020年3月の「コロナ・ショック」以降に、景気悪化懸念に加え、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の進展などによるオフィス需要の減退などが嫌気されて人気が離散。その後、内外金利上昇による資金調達コストの上昇圧力などがかかったことによって、投資対象として敬遠される状況が続いている。例えば、「コロナ・ショック」前の2019年12月30日を100として、「J−REIT指数」、「日経平均株価」、「S&P500」を比較すると、2024年3月21日現在で、「日経平均株価」が173、「S&P500」が163のところ、「J−REIT指数」は84という水準であり、株価に比べて大幅に出遅れた水準にある。

 J−REITの価格が低迷していることに伴って予想分配金利回りが上昇している。過去10年間の予想分配金利回りは4%割れの水準がほとんどだったが、2024年4月1日時点では、J−REIT指数ベースで予想分配金利回りが4.45%になっている。日経平均株価の配当利回りが株高によって4月には1.6%台になっていることと比較しても、J−REITの予想分配金利回りの高さは魅力的だ。

 新設の「SBI・J−REIT(分配)ファンド(年4回決算型)」(愛称:SBI日本シリーズ−J−REIT(分配))は、J−REITへの投資にあたって、分配金利回りに着目し、高水準のインカムゲインと中長期的な値上がり益の獲得によるトータル・リターンの追求をめざすとしている。基本的にポートフォリオの平均分配金利回りがJ−REIT市場の平均を上回るように銘柄の選定、投資比率の決定を行うことをめざしている。利回りが高いことだけで銘柄を選んでしまうと、経営状況が厳しかったり、資産内容が悪化している銘柄なども含まれるが、同ファンドでは「中長期的な値上がり益の獲得」につながるだけの経営力等があるREITかどうかを見極めるアクティブファンドの目利き力を加えることによって、トータル・リターンの観点でポートフォリオを組むとしている。

 一般的に個別銘柄の分析を行うアクティブファンドの運用コスト(信託報酬)は高い傾向があり、業界を代表するJ−REITのアクティブファンドは信託報酬率が年1.1%(税込み)など、1%前後になっている銘柄が多い。4月3日時点でJ−REITを主たる投資対象としている追加型投資信託の信託報酬率は、平均で年0.714%(税込み)。アクティブファンドの平均は年1.055%(税込み)、インデックスファンドの平均は年0.374%という水準だ。同ファンドの信託報酬率の年0.099%は、もっとも運用コストが低いインデックスファンドの信託報酬率の年0.11%をも下回る水準になっている。

 一方、同ファンドは、高水準の予想分配金利回りに着目してポートフォリオを構築し、そこで得た分配金等を四半期(3カ月)ごとに分配することにしている。分配月は、2月・5月・8月・11月の年4回だ。

 SBIアセットマネジメントには、他の投資資産を対象とした年4回決算型のファンドがシリーズとして揃っている。たとえば、国内株式で高配当の銘柄に投資する「SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」は、1月・4月・7月・10月に分配金が出る。そして、欧州の高配当株に投資する「SBI・欧州高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」は、3月・6月・9月・12月に分配金が出る。

 いずれのファンドも好調だ。「SBI日本高配当株式(分配)ファンド」は、設定来から4月2日までの累積リターンが18.47%とウエルスアドバイザーのカテゴリー平均16.98%を上回っている。日本株の好調も相まって、純資産残高は630億円を超えた。「SBI・欧州高配当株式(分配)ファンド」は設定来から4月2日までの累積リターンが3.28%とこちらもカテゴリー平均の3.16%を上回っている。純資産残高は87億円まで積み上がった。

 新設される「SBI・J−REIT(分配)ファンド(年4回決算型)」と合わせて投資すれば、投資対象は「J−REIT」、「国内株式」、「欧州株式」という分散した投資ポートフォリオとなり、しかも、毎月分配金を受け取ることができるようになる。分配金を受け取ることは、資産の成長にはつながらないが、年金受給者の方々が、公的年金にプラスαのゆとりを得る目的で分配金を活用するような使い方ができる。NISAの対象であれば、分配金にかかる20%の課税が免除されるため、非課税メリットを実感しやすいだろう。

 SBIアセットマネジメントの年4回決算のファンドは、多彩な資産クラスを対象としたファンドシリーズとしての側面もある。国内株式、国内債券、米国株式、米国債券、そして、欧州株式を投資対象としたファンドがあり、揃って低コストのファンドシリーズになっている。投資対象を分散することによって価格変動リスクを抑え、しかも、分配月を組み合わせることで、定期的な分配金を得ることもできる。投資の目的に応じてNISAの恩恵を受ける運用プランをつくるためのツールとして活用を検討したい。