Opera 概要

Opera

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/08 16:02 UTC 版)

概要

クロスプラットフォームソフトウェアとして開発されており、デスクトップ版はWindowsmacOSLinuxなどのオペレーティングシステムに対応している。また、携帯機器・デジタル家電などへの組み込みにも適しており、2000年代にはニンテンドーDSWiiなどの各種ゲーム機、ハイビジョンテレビ、携帯電話フィーチャーフォン)などに幅広く採用された。スマートフォンタブレットAndroidiOS)向けの製品も提供されている。

デスクトップ版

コンピュータ用Opera[23]の対応OSはBeOSLinuxFreeBSDSolarismacOS (Intel Mac) と16ビット及び32ビットのWindowsの各オペレーティングシステム。バージョン12より、64ビット版 (Windows, Mac OS X) を提供していたが、バージョン15以降HTMLレンダリングエンジンの変更に伴い廃止された。

バージョン12以前(Elektra/Prestoエンジン)

タブブラウジング

単一ウィンドウ上でタブの切り替えを行うことで複数のWebページを閲覧できるタブブラウザの、草分け的存在である。

厳密にはタブ方式ではなくMDI方式を採用しているが、バージョン8から他のタブブラウザに近い表示形式(各タブに閉じるボタンが表示される)がデフォルトで採用されている。どちらの場合も開いているタブ(子ウィンドウ)を並べたり重ねたりして同時に表示したり、タブを別のウインドウへ移動したりするなど、さまざまな使い方が出来るようになっている。そのため任意の操作で開かれるポップアップウインドウを素早く表示したり、ウインドウのリサイズを行ったりというJavaScriptによるさまざまなウインドウ操作にも対応している。

またタブにマウスカーソルをポイントするとページの縮小画像(サムネイル)がポップアップする機能や、閉じたタブの一覧を表示し再度呼び出せるボタンもある。近年[いつ?]Internet Explorer 7以降やFirefoxなどタブブラウジングに対応したブラウザが大きなシェアを占めるようになったが、タブブラウジングに関するOperaの独自性は薄れていない。

独自エンジン

NetscapeInternet Explorerを始めとした多くのブラウザは、初期にNCSA Mosaicを受け継ぐ形で開発されたのに対し、Operaは最初のリリースから独自に開発されてきた[24]。このためNetscape/MozillaInternet Explorerに続く「第3のブラウザ」と呼ばれることがある。[25][26][27]

後述するように、Acid2への合格などW3Cの勧告に準拠するよう努力した製品であるが、同時に他製品との互換性に配慮している部分も多い。例えば、Internet Explorerに特化して記述されたサイトにも、限定的にではあるものの対応できるようになっている(ActiveXVBScriptなどには非対応)。

また、ウェブスタンダードプロジェクトが作成したAcid2をVer.9β版のWindows版Weekly buildで2006年3月10日にクリアしている。バージョン9.5(開発コードネーム:Kestrel)ではレンダリングエンジンを大幅に改良し、CSS3やSVGのサポートの向上、ECMAScript4準拠の新しいJavaScriptエンジンを搭載して、標準勧告に準拠していないWebページも適切に表示しつつ、全体の動作スピードの高速化を図った。さらにその後のバージョン10(開発コードネーム:Peregrine)ではAcid3テストをクリアし、さらなる機能追加や改善をした。

メジャーバージョンアップのたびにウェブ標準やInternet Explorerとの互換性を向上させているが、ウェブサイト側でユーザーエージェントなどを判別してメジャーなブラウザのみに対象を絞っていることが原因で、表示に問題が出たり正常に機能しない場合がある。Operaはユーザーエージェントの偽装が可能だが完全に対処できるわけではない。

なお、表示できる文字種に関して、追加面における制限があり、Windows 7でのバージョン12.02(2012年9月現在)日本語版を例に挙げると、デフォルトの環境ではJIS X 0213に当てはまる部分は正常に表示できるものの対応フォントの指定が効かず、したがってデフォルトで表示できない追加面の文字を表示させることができなくなっている。

スモール・スクリーン・レンダリング

携帯機器向けOperaOpera Mobile / Opera Miniなど)に採用されている、小型の画面にレイアウトを乱すことなくPC向けのウェブサイトを表示する独自の技術「スモール・スクリーン・レンダリング」技術を使ったモードがデスクトップ版(バージョン7以降)にも搭載され、携帯電話等での表示をシミュレートすることが可能。また、これを応用した「ミディアムスクリーンレンダリング」が、バージョン8以降に搭載された。このモードは、ウィンドウの幅に合わせてページレイアウトを極力違和感なく自動調整するもので、ウィンドウの幅が狭い場合でも水平スクロールバーを使わずに済むようにできる。

インターフェイス

Operaのマウスジェスチャーの例
戻る: 右クリックを押したまま、マウスを左に動かします or 右クリックしたまま、左クリックをします
進む: 右クリックを押したまま、マウスを右に動かします or 左クリックしたまま、右クリックをします
新しいタブ: 右クリックを押したまま、マウスを下に動かします。リンクをマウスの真ん中のボタンでクリックすると、リンク先ページをバックグラウンドの新しいタブで開くことができます。
高度なカスタマイズ性
ショートカットキーマウスジェスチャーやほぼ全てのメニュー内容、ツールバーのボタン、User JavaScriptによる機能の拡張など、カスタマイズ可能な項目が多い。Ver.9以降ではopera:configというアドレスを入力すると開く設定エディタから詳細な設定を変更したり、ドメインごとにセキュリティ設定を行うことも可能になっている。これらのカスタマイズは上級者向けだが、公式コミュニティサイト等で他のユーザーが公開したインターフェースのカスタマイズ(セットアップファイル)をダウンロードし利用することもできる。
スキン / テーマ
使用者が容易に画面デザインや配色設定を変更できる。バージョン12から新たに「テーマ」に対応した。スキンは制作者がボタン・背景などの画像ファイルを全て用意する必要があり、ボタンなどの各UI要素を完全に変更することも可能だが、バージョン12のテーマは背景画像1枚と簡単な設定テキストファイルのみで構成されており、カスタマイズ性は大幅に劣るものの軽量で、UIが不用意に壊されるリスクを排除している[28]
ショートカットキー
Internet ExplorerやFirefoxなどであればリンク間のフォーカス移動がTABキーによる前後移動に限られるのに対し、OperaではShift + 矢印キーによる上下左右の移動もデフォルトで可能である。Spatial navigationと称される。
カスタマイズにより、標準的なブラウザ操作のほぼすべてを、マウスを使わず片手のみで行えるよう変更可能。
ズーム機能
テキストだけではなく画像も滑らかに拡大・縮小でき、ページ全体のレイアウトを崩すことなくサイズ変更できる。この機能はバージョン2.1(1996年)から実装されており[29]、競合ブラウザが追随するまでは極めてユニークであった(Internet Explorerはバージョン7(2006年)から、Firefoxはサードパーティー製アドオンを除けばバージョン3(2008年)でようやく実装された)。
マウスジェスチャー
マウスの右ボタンのドラッグによって「戻る」「進む」「新しいウィンドウを開く」などといった操作を行える。バージョン5でいち早く実装された。
バージョン11からは機能が強化され、ボタンを押し続けると操作方法を示すガイドが表示されるようになった。ただしデスクトップ版に関してはタッチパネル特有の操作への対応は進んでいない。
ユーザースタイルシート
Webページが指定するスタイルシートを無視して好みの設定で表示できるモードがある。「作成者モード変換機能」として、テキスト互換、白黒反転、ハイコントラストなど視覚障害対応も標準装備されている。上級者向けだがスタイルシートを編集してサイトの表示を好みに改変することも可能。
スピードダイヤル
バージョン9.20で実装。空白ページにショートカットを表示し簡単にアクセスできる。当初は最大9つのショートカットに限られていたが、バージョン9.50から設定ファイルを編集すればいくつでも増やすことができるようになり、バージョン10ではGUIからの操作で4〜25個に変更できるようになった。バージョン11.50からスピードダイヤルの拡張機能を導入し、ショートカットだけでなく様々な機能を配置できるようになった。
履歴からの全文検索
バージョン9.5で実装。アドレスフィールド[30]のURLオートコンプリートと同じ感覚で履歴内のインライン検索が行える。同時期にリリースされたFirefox 3の「スマートロケーションバー」とほぼ同等の機能。
検索サジェスト機能
バージョン10.60で実装された(当初は隠し機能だった)。アドレスフィールドに「g 検索ワード」と入力すると、Googleの検索予測候補を表示する。BingやWikipediaの英語版などにも対応している。Google ChromeやInternet Explorer 9にも同様の機能がある。最新バージョンでは、IMEの未確定文字にも対応した。

軽快な動作

10年前のパソコンでも動くことを目指して、プログラムコードをある程度小さくまとめることで高機能と軽量化・高速化の両立を図っているため、性能の低いマシンや古いOSを搭載したマシン(Windows 95など[31])でも比較的高速な動作を実現できる。[32][33]

メモリキャッシュ機能を搭載しており、戻るボタンを使用する際にHDD上のキャッシュファイルにアクセスすることなく最近表示したページを瞬時に再表示できる。前述のようにPrestoエンジンも高速な動作に寄与しており、世界最速を謳う[34]

その他の特徴

電子メールクライアント等の統合
Operaには電子メールクライアント「Opera Mail」が内蔵されており、Operaでウェブを閲覧しながら瞬時にメール作成・閲覧・送受信が可能になっている(かつてはM2という名称が使われていたが、現在公式サイトにおいてはOpera mailとだけ表記されており、M2という名称は使われていない)。メールメッセージの保存フォーマットはmboxを採用している。
この他、IRCクライアント、ネットニュースリーダー、RSSフィードリーダーの各機能、またVer.9からはBitTorrentクライアント機能やウィジェット機能も搭載されている。BitTorrentクライアント機能に関しては、米BitTorrent社との間で、商標の使用やBitTorrentサーチエンジンへのアクセスなどに関して提携が結ばれている。
ウィジェット
Operaにインストールして使用する小規模なアプリケーション。開発向けツール、時計、音楽プレイヤー、ゲームなど様々なものが提供されている。バージョン9で実装[35]。バージョン10以降はOpera本体と別途で起動できるため、インストールすれば単体のアプリケーションとしての利用も可能である。2012年4月、拡張機能の開発に注力するためウィジェットおよびOpera Uniteを段階的に廃止することを発表[36]
拡張機能
Operaに機能を拡張するプログラム。Firefox等から遅れる形で2011年のバージョン11より採用された。HTML5やJavaScriptなどの標準技術を用いて作られている。
セキュリティ
普及率が低いためInternet Explorerなどに比べてクラッカーの標的にされにくい面がある。新たに発見されたセキュリティホールへの対処はIEのような修正パッチではなく新しいバージョンで提供されるため、最新の安定版を使うことが推奨される。またバージョンアップのたびにフィッシング詐欺マルウェアなどへの対策を強化している。
Ver.9.10からは米GeoTrust社との提携とPhishtankのデータベース参照を利用して、リアルタイムでフィッシング詐欺対策を行う機能「Fraud and Malware Protection」(10.60までは「Fraud Protection」)を搭載した。
JavaScriptやプラグインなどの実行設定はメニューから容易に切り替えができるほか、バージョン9からは各サイトごとに個別のセキュリティ設定を簡単に行うことができるようになった。
音声操作
Windows版のVer.8以降では専用のプラグインを導入する事で、音声によるOperaの操作、および英語のテキストトゥスピーチ機能が追加できる。Ver.9.5ではユーザビリティを重視しつつ他のブラウザとの操作性を統一するために、ユーザーインターフェイスの改良が施され、キーボードによるナビゲーションの改良やスクリーンリーダーへの対応もなされた。
プラグイン
NetscapeやFirefoxの使用しているNPAPIと互換性があり(拡張機能ではない)、Adobe Flash PlayerやAdobe Readerなどは、Netscape用のものを共通に使用できる。Operaよりも先にFirefoxなどがインストールされていた場合、Operaのインストール時に自動的にその既存ブラウザのプラグインフォルダを検出し、Operaで使うプラグインフォルダとして加える。このため、ユーザはFirefox用にインストールしたプラグインを、Opera用に改めてインストールする必要なく利用が可能である。
ただし、GoogleYahoo! JAPANなどのツールバーをはじめとする、特定のブラウザを対象とした拡張ソフトウェアは、Operaでは利用できない。
コンテンツブロック
バージョン9.0で実装。他のブラウザでは拡張機能やProxomitronなどを必要とするインターネット広告の除去がOpera本体だけで可能である。簡単な操作で特定の画像やFlashなどを非表示にでき、URLにワイルドカードを用いることもできる。応用としてページが呼び出すJavaScriptファイルをブロックしてテキスト広告などを除去することも可能である。
Opera Link
バージョン9.5で実装。ブックマークとメモ、スピードダイヤル、パーソナルバーの同期機能。My Opera Communityのアカウントに情報を蓄積するため、ユーザー登録を行わなければ利用できない。
Opera Dragonfly(オペラ・ドラゴンフライ)
バージョン9.5ベータ版2以降に同梱されているWeb開発兼デバッグツール。2008年5月6日にリリースされた。ソースコードは、BSD Licenseの元で公開されている[37]
Opera Turbo
低速回線向けの表示高速化技術。Webページを表示する前にOperaのサーバーを経由してデータ圧縮することでダウンロードサイズを減らし、Flashなどのマルチメディアはクリックしなければ読み込まれないようにされている。ただし画像は再圧縮されるため画質が著しく低下する。2009年にこの機能を搭載したテスト版が公開され、バージョン10より正式に実装された。
Opera Unite
簡易サーバー機能で、直接Operaをインストールしたコンピューターからファイル共有を可能にする。音楽のストリーミング、フォトギャラリー、ファイルやフォルダの共有、チャット、ウェブページの公開をOperaブラウザで直接行うことができる。2009年にこの機能を搭載したテスト版が公開され、バージョン10.10より正式に実装された。2012年4月、拡張機能の開発に注力するためウィジェットおよびOpera Uniteを段階的に廃止することを発表[36]
スタンドアローンインストール
バージョン11よりインストールオプションから選択できる。これを使えばシステムに変更を加えることなくUSBメモリなどへインストールすることが可能となっている。

非公式版

USBメモリなどに導入し、自分のパソコン以外でもポータブルアプリケーションとしてOperaを利用できるよう、機能の一部の変更や削除がされているOpera@USBやOpera Portableなどのソフトウェアが有志の手により非公式に提供されている(ただし、前述の通り正式版でもバージョン11からはスタンドアローンインストールが可能)。Opera本体に追随する形で開発が進められるが、非公式であるためバージョンアップの提供はOpera公式版よりも幾分遅れるようになっている。

バージョン15以降(Chromiumベース)

2013年2月13日、Opera Software ASAレンダリングエンジンとしてのPrestoの開発とOpera Browserでの使用を終了し、今後のリリースにおいてはOpera BrowserをChromiumベースで作り直し、使用するレンダリングエンジンもWebKitに変更すると発表した[38][39][40]。しかし、わずか2か月後の4月にGoogleがChromiumのレンダリングエンジンをBlinkに変更することを表明したため、Operaもこれに追随することになった[41][42]

Chromiumベースで作り直されたデスクトップ版のOpera 15の最初のベータ版は2013年5月に、最初の安定版は2013年7月にリリースされた(Windows・Macのx86版のみ)。デスクトップ版ではバージョン13および14は欠番となったが、14はごく短期間、WebKitベースのOpera for Androidのバージョン番号として使われた。

新要素には以下のようなものがある[43]

  • スピードダイヤルにグループ化機能などを搭載し、ブックマークを代替する。いったんブックマークを廃止したが、ユーザーの声を受けてバージョン17からQuick Access Bar(ブックマークバー)を復活させた[44]
  • スタッシュ - 後でまとめて読みたいページをストックし、一覧表示する機能
  • ディスカバー - おすすめのウェブページをサムネイル形式で自動表示する
  • 検索ボックスを廃止し、アドレスフィールドに統合
  • 新しい拡張機能のフォーマットを採用。Opera 12以前の拡張機能は使用できない。Google Chromeとは互換性があり簡単な手順で流用が可能。
  • Google Chrome、Mozilla Firefoxのような高速リリースサイクルを採用

Opera 12以前に搭載されていた以下のような機能は削除された。

  • 外観・マウスジェスチャー・キーボードショートカットなどUIの高度なカスタマイズ
  • グループ化・サムネイル表示など高度なタブ機能
  • Opera Link
  • ユーザースタイルシート
  • コンテンツブロック
  • 内蔵メールクライアント(独立したソフトウェア「Opera Mail」として分離された)
  • BitTorrentクライアント
  • スモールスクリーンレンダリング ...など多数

一部の機能は今後再実装する計画がある[45]Opera Linkは削除されたが、同等の機能がOpera 28以降利用可能となった[46][47]

スナップショット / Opera Next / Opera Developer

2006年2月13日以降リリースされている評価版はスナップショット (Snapshot) と呼ばれる。以前はWeekly Buildと呼ばれ、毎週金曜日にリリースされていた。機能の改善などを目的にテストリリースされている。何よりも最新のプログラムコードで書かれたバージョンである反面、バグなどのチェックは全く行われていないアルファ版に当たるため、オペレーティングシステムなどに悪影響を及ぼす可能性もある。初心者や一般ユーザーは使用すべきでない。

2011年5月にリリースされたバージョン11.50のアルファ版から「Opera Next」と呼ばれる新しい評価システムが導入された[48]。従来も複数のバージョンを別々にインストールすることは可能であったが、Opera Nextはロゴやボタンの色が変更され、安定版(Stable)との区別がつけやすくなっている。
Opera Nextはベータ版リリース候補版にあたり、Opera Nextでバグの少ないバージョンがそのまま安定版としてリリースされることもある(その場合、ロゴやボタンの色は正式版のものに変更される)。
従来のアルファ版に当たるものは「Opera Labs」と呼ばれるようになった。Opera Labsは「Opera browser」公式ページから直接ダウンロードリンクされておらず、12.00 alpha以前は英語版のみだった。

2013年のOpera 15以降では、安定版・Opera Next・Opera Developerの3段階でリリースする方針となった[45]。Opera Developerは安定版ともOpera Nextとも異なるロゴやボタンの色が使用される。

モバイル版 / デバイス組み込み分野

モバイル向けにリリースされているOperaには、Opera MobileOpera Miniがある。

両者の大きな違いは、サイトのレンダリング方法である。Opera Mobileは、デスクトップ版のレンダリングエンジンを純粋に移植した、ネイティブで動作するフルブラウザだが、これに対しOpera MiniはJavaベースで動作し、また自前でのレンダリングエンジンを持たない。Opera Miniでは、あらかじめOperaのサーバ側でサイトのレンダリング処理を行い、圧縮を行った上で端末に転送している(どちらでも前述のスモール・スクリーン・レンダリングが適用できる)。

このため、「レンダリングエンジンを搭載しているため(Opera Miniに比して)ハイスペックが要求されるが、豊かな表現力・自由度を持つOpera Mobile」と、「細かいカスタマイズはできないが、軽快に動作するOpera Mini」という違いがある。

具体的には、Opera MobileではJavaScript・HTML5・Flash[49]が活用できるのに対し、Opera MiniではJavaScriptに一部制限があり、HTML5・Flashには対応しない[50][51]。その代わり、Opera Miniではレンダリング結果自体の圧縮により、Webページの圧縮率は最大10%を謳っている[52]。Opera Mobileではデスクトップ版と同様のOpera Turbo(前述)を利用できるものの、圧縮率は最大80%に留まる[52]、など。

対応する機種も異なる。Opera Mobileは、デバイスにプリインストールされているもの以外ではAndroidS60Windows Mobile[53]を搭載したスマートフォンタブレットで利用可能である。Opera Miniでは前記のものに加え、Java MEの実行ファイル(JAR形式)として入手できるほか、iOSiPhoneiPadなど)、BlackBerry向けのバージョンがある。Opera Miniについては、Java MEを搭載していれば一部フィーチャーフォンでも利用可能である。

日本では2004年5月に、DDIポケット(現ウィルコム)のAIR-EDGE PHONE端末・AH-K3001V京セラ製)に、国内で発売される携帯電話・PHSとしては初めてOpera Mobileが搭載されたほか、同年12月にはau (KDDI) のCDMA 1X WIN端末・W21CAPCサイトビューアーという名称で同じくOpera Mobileが採用されており、以後日本の携帯電話・PHSにフルブラウザが搭載されるきっかけを作った。ただし、SHA-2に対応できなかったため、2016年に入る時期の前後には、暗号化証明書の必要なサイトに順次接続不可となる不具合を催すことになった。

さらに、Operaの技術をベースに、既存のWeb関連技術やAjaxなどを利用して、モバイル環境のネイティブなソフトウェアとオンラインコンテンツを統合可能にする、「Opera Platform」というアプリケーションプラットフォームの提供をはじめている。

モバイル向け分野のほかにセットトップボックスカーナビゲーションシステムなどの各種デバイス組み込み分野でもOperaの開発が行われている。中でも任天堂携帯ゲーム機ニンテンドーDS」向けに、Operaをベースとして独自の改良を加えた「ニンテンドーDSブラウザー」が2006年7月より発売されており、ニンテンドーDSiにはニンテンドーDSiブラウザー[54]、同じく任天堂の据え置きゲーム機「Wii」向けにもインターネットチャンネルの名でOperaが提供されている。また、東芝液晶テレビCELL REGZA」でもWebブラウザとして使用されている。

2013年、Android向けのOpera MobileとOpera Miniが統合され、「Opera for Android」となった。最初のβ版が2013年3月に公開され、レイアウトエンジンをPrestoからWebKitに切り替えた最初の製品となった[55]。従来のOpera Mobile・Opera Miniもダウンロード可能である。


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OPERA

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/12 23:47 UTC 版)

OPERA(Oscillation Project with Emulsion-tRacking Apparatus、写真乳剤飛跡検出装置によるニュートリノ振動検証プロジェクト)は、CERNからグラン・サッソへの732km長基線ニュートリノ・ビームラインを使用し、ミューニュートリノから変化したタウニュートリノの出現でニュートリノ振動を検証するための実験である。




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