秦野・弘法山でのんびりサクラのお花見、ゴールにはとっておきの温泉が待っている

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神奈川県秦野市にそびえる弘法山。秦野駅から権現山、弘法山、吾妻山とつないで歩くハイキングコースは展望や緑を手軽に楽しめる、関東近郊のハイカーに人気のルートのひとつ。山麓の鶴巻温泉には良質の日帰り温泉が待っている。

写真・文=西野淑子

 

 サクラの開花予報がニュースの話題になり始めると、山でサクラのお花見のことを考え始める。サクラが楽しめる山を思い浮かべ、今年はどの山に、いつ行くことができるだろうと思いを馳せる。秦野市の弘法山もそのひとつだ。

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権現山山頂から富士山の眺め。手前には箱根の山々も

権現山、弘法山、吾妻山と連なる山々で、サクラが見られるのは権現山一帯。手前の浅間山から権現山に続く道の途中にサクラが群生し、広々とした権現山の山頂もサクラに囲まれている。権現山から弘法山に向かう途中、広々とした馬場道もサクラの並木道。標高がそれほど高くなく、サクラの見頃は町のサクラとほぼ同じ。

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浅間山から権現山に向かう手前、サクラの群落

4月はじめのハイキングの下見で弘法山のハイキングコースを歩いた。今年の冬は寒い日が続き、サクラの開花は遅いだろうと思われていたが、ここ数日の陽気で一気にサクラのつぼみが膨らんでいるようだった。
これでは当日まで花がもってくれるだろうか、お花見ならぬ「お葉見」になってしまうかもしれないな。いやそれでも、権現山からの山々の眺めは魅力だし、吾妻山へ向かう樹林の雰囲気もよい。このコースの魅力はサクラだけではないのだ。

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権現山山頂。広場の周りにはサクラが植栽されている

モデルコース:弘法山

 

コースタイム:秦野駅(50分)権現山(15分)弘法山(55分)吾妻山(25分)鶴巻温泉駅 合計2時間25分 

アクセス:小田急秦野駅下車

温泉のあと、すっきりした味わいのそばを味わう

秦野駅から歩き始めて鶴巻温泉駅へ。駅の手前の日帰り温泉施設「弘法の里湯」に立ち寄った。

春先、まだ気温の低い時期は、山帰りに温泉に入って帰りたい。弘法の里湯は男女別に大浴場と露天風呂があり、広々としたお風呂でゆっくりと湯浴みが楽しめる。露天風呂で空を眺めながらぼーっとする。冷えていた体がじんわりと温まっていくのが心地よい。平日、少し早めの時間だったせいか、地元のお母さん達がのんびりと湯に浸かりながらおしゃべりをしていた。地元の人に愛されている温泉、いいな。

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弘法の里湯。大浴場と露天風呂がある

風呂上がり、館内の食事どころ「一の屋 鶴寿庵」へ。
秦野はそばの名産地でもあるのだそうで、この店ではそばを中心とした和食を味わえる。以前訪れたときにそばを食べたら美味しかったのを覚えていた。

今日は贅沢して風呂上がりにビールにしよう…と思ったら「うでピー」なるおつまみが。秦野は落花生の名産地。ここははずしてはなるまい。

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うでピー(480円)と生ビール(580円)

ゆでた殻付き落花生。出てきたらふんわりと落花生のいい匂いがした。美味しい予感しかしない。しんなりとした落花生は風味がよく、落花生の甘みも感じられる。これはビールが進むね。ビールもやや小さめのジョッキがありがたい。山帰りにちょっと飲むならこのくらいで十分なのだ。しかし落花生は山盛り、ひとりで食べるにはちょっと多かったか。

そばはシンプルにせいろそばにした。細切りでつやつやと輝くそば。すっきりとした味わいでのどごしもよい。やや濃いめのつゆとの相性もいい。つるつる、するする、あっという間に食べ終えてしまった。天ぷらそばとかとろろそばも美味しそうだったけど、そばの美味しさをしっかり味わうなら、やっぱりせいろだ。

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のどごしのよいせいろそば

少しだけ残っていたうでピーを食べ終えて、お腹いっぱい、ごちそうさま。

お店の入口では秦野の農産物などを揃えるおみやげ処がある。温泉と美味しいもので心が満たされていると、ついついいろいろ買ってしまうのがいつもの悪い(?)くせ。里芋やら菜の花やらピーナツのドレッシングやら、あれこれ買い込んで帰途についたのだった。

店名:弘法の里湯

市内に湧く2種類の源泉が楽しめる、公営の日帰り入浴施設。露天風呂と内湯が男女別にある。館内にはそばを中心とした料理が楽しめる食事処を併設。

電話:0463-69-2641

住所:神奈川県秦野市鶴巻北3-1-2

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

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