放浪の画家・山下清の「兼六園の庭」、現物を初確認…「もう存在しないと思っていた」

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 放浪の画家・山下清(1922~71年)の生誕100年を記念し、福井市で今月始まる巡回展に金沢市の兼六園の景色を描いた作品が出品される。山下は1957年に金沢で個展を開いたことがあり、その際に訪れた兼六園を描いたとみられる。山下作品を管理する会社によると、山下が石川県内の風景を描いた作品の存在は知られていたが、現物を確認したのは初めてという。

山下清の「兼六園の庭」について説明する上原さん
山下清の「兼六園の庭」について説明する上原さん

 山下は東京・浅草生まれ。軽度の知的障害があり、12歳で入園した千葉県の養護施設「八幡学園」で貼り絵の才能を開花させた。1940年以降、放浪に出て旅先の風景を貼り絵や油絵、ペン画で残す生活を約15年続けた。その後、全国で展覧会を開き、49歳で死去した。テレビドラマ「裸の大将」のモデルとしても知られる。

 巡回展に出品する「兼六園の庭」(57年制作)は縦約45センチ、横約37センチのスケッチブックに油性ペンで兼六園の風景を描いている。同園のシンボルのことじ灯籠などが味わい深いタッチで表現されている。

 所有者の金沢市元町、会社員上原誠さん(52)は2018年、旅行中に名古屋市内の 骨董こっとう 店で作品に出会った。著名な画家が地元を描いた作品に縁を感じ、購入を決めた。「今と変わらない景色が描かれている。山下がここに立ったと思うと歴史を感じる」と語る。

 山下の家族と共同で作品を管理し、巡回展を企画する会社「ステップ・イースト」(東京)によると、山下作品をまとめた書籍には、県内の風景を描いたものが複数あるとされているが、今回、初めて現物が確認された。担当者は「本の中でしか見たことがなく、もう存在しないと思っていた。所有者が名乗り出たことで作品があると分かった」と話す。

 同作品が展示される「生誕100年 山下清展」は3日~11月6日、福井市下馬の同市美術館で開催。問い合わせは同美術館(0776・33・2990)へ。巡回展は24年まで東京や福岡などでも順次開催され、「兼六園の庭」も展示予定だ。

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3306433 0 エンタメ・文化 2022/09/02 06:01:00 2022/09/02 06:01:00 2022/09/02 06:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/08/20220831-OYT1I50215-T.jpg?type=thumbnail

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