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日本原子力研究開発機構と英国立原子力研究所の日英チームが、次世代原子炉「高温ガス炉」で使う核燃料の共同開発に乗り出す。英政府が、2030年代初めの稼働を目指す実証炉での担当事業者に選び、開発費約29億円の配分を決めた。高温ガス炉の技術で世界をリードする原子力機構は今回、炉本体の基本設計への参加も決定。日本側は、炉と燃料の両方の技術を海外展開することで国内での将来の実証炉開発などに生かす。
高温ガス炉は、高速炉や革新軽水炉と並ぶ安全性の高い次世代炉で、米英や中国、韓国などが開発を進める。従来の軽水炉は大量の海水などを冷却用に使うが、高温ガス炉はその必要がなく、立地の制約が少ない。
英政府は、商用化の前段階で技術を検証する実証炉の開発を進めており、中部ハートルプールが建設候補地に挙がる。ただ、軽水炉の燃料では高温ガス炉の高熱に耐えられないため、専用の燃料が必要となる。燃料工場を整備する方針だが、国内に十分な製造技術がないことが課題だった。
原子力機構は、1998年に初臨界を達成した高温ガス炉の実験炉「HTTR」(茨城県大洗町)を保有。国内メーカーと連携して高品質の燃料を開発・製造してきた実績が評価された。日英チームは今後、燃料の設計など製造技術の向上に必要な研究を進める。
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