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素粒子「ニュートリノ」を高感度で捉える次世代観測施設「ハイパーカミオカンデ」(岐阜県飛騨市)で、検出器を設置する地下空洞の工事が一部完了し、29日、報道関係者に公開された。2027年の実験開始を目指しており、物質の寿命や起源の解明につながる成果などが期待されている。
ハイパーカミオカンデは、山中の地下空洞に巨大な水槽(深さ71メートル、直径68メートル)を設置し、26万トンの水を満たす施設。この日は、10月に完成した空洞上部のドーム部分などが公開された。今後は水槽を整備するために深さ73メートルまで掘削を進める。
施設では、飛来したニュートリノがまれに水中の電子などと衝突して出る光を高感度のセンサーで捉える。前身の「スーパーカミオカンデ」よりセンサーの感度を約2倍に高め、実験に用いる水の量も増やすことで、ニュートリノとその反物質の性質の違いなどに迫る。
原子核を構成する陽子が壊れて微弱な光が出る「陽子崩壊」を世界で初めて検出できるかにも注目が集まる。研究を主導する東京大宇宙線研究所の塩沢真人教授は「陽子崩壊が検出できれば、素粒子への新たな理解につながる」と話した。