映画「蒲田行進曲」の銀ちゃん、ドラマ「スチュワーデス物語」の教官役で二枚目俳優としてブレークしてから40年。74歳の今も変幻自在に演じる男の「役者人生」は筋金入りだ。
「子役をやって、中学に入りすぐ辞めたけど、その時に将来役者になると決めていた。だから就職するとか一度も考えたことなかったんですよ」
早稲田大学を中退、劇団の養成所も辞め、22歳のとき「役者人生の出発点」となる劇団「表現劇場」を、大竹まこと、きたろう、斉木しげる(後のシティボーイズ)らと旗揚げした。
「25歳で結婚したんですけど、まあ、20代はほとんど気楽でしたね。絶対いつか誰かの目に留まるって」
役者は演じて食べていかねばと、劇団員と宣伝用写真を撮り、アルバムを作製。制作会社やテレビ局に置いてもらうが、声が掛かったのは日活ロマンポルノだけだった。
「最初はラブシーンのない役で、面白そうだと。当時は、巨匠はロマンポルノなんか撮らないってことで、助監督が張り切って作る。だからその現場の熱にあおられ、立て続けに出ましたね」
それが彼の運命の扉を開くことになる。NHK大河ドラマや後の恩師、つかこうへい(劇作家、演出家)との出会いへとつながっていったのだ。
「普段、酒を飲んで、うだうだ言ってるか、マージャンをやってるかっていう男で。自己表現という言い方は好きじゃないけど、自分を表現する場所は虚構の世界だけ。ロマンポルノであろうがなんだろうが、演じることだけが喜びでずっとやってきた」