オープニング
花がさきました。何の花?
やがて花は実になりました。トマトでした。
ホナちゃんが畑にやってきました。ホナちゃんの畑で育てていたのは、トウモロコシ。実はできているのでしょうか。一つもいで皮をむいてみると…、実ができていません。どうしてなのでしょう。ホナちゃん、がっかりです。
なぜ実ができなかったのか、ホナちゃん、ほかの畑の様子を見てみることにしました。トウモロコシ農家の畑では、実がぎっしりつまった大きなトウモロコシがなっています。そういえば、実は花がさいたあとにできることをホナちゃんは思い出しました。トウモロコシの花はどれでしょう。農家の人に聞いてみると、トウモロコシの上のほうにある穂(ほ)の部分と、下のほうにあるふさふさのついた部分だと教えてくれました。
じつは、トウモロコシには花が2種類あるのです。ひとつは、上のほうにある穂の部分。花がさく様子を見ると、穂(ほ)が成長しながら、小さな細長い花が、たくさん咲いていきます。これが、「おばな」です。おばなは、実にはならない花です。
実になる花は、ふさふさが、点いた部分。中はどうなっているのでしょう。皮をむいて、毛のようなものをたどってみると、小さなつぶつぶにつながっていました。この一本一本が、実になる花、「めばな」です。めばなは、実になる部分とめしべでできています。実になる花と、実にならない花があったのです。
おばなは花なのに、実と関係ないのでしょうか。葉っぱの上をよく見ると、粉のようなものがついていました。その粉は、おばなから出ていました。「花粉」です。おばなの先を拡大(かくだい)すると見える小さな丸いつぶが、トウモロコシの花粉です。花粉は、おばなだけにあります。おばなの花粉がめしべにつくと、実ができるのだそうです。本当でしょうか。
確かめるには、実験! めしべに花粉をつけたものとつけないもので、実のなる部分がどう変わるかを比べます。まず準備。めしべが出る前にふくろをかぶせ、めしべに花粉がつかないようにします。めしべが出たら、実験開始です。おばなから花粉を集め、かたほうのふくろを取って、花粉がどのめしべにもつくようにかけます。そしてまたふくろをかぶせます。花粉以外の条件は同じにしておきます。
花粉をつけて27日後。結果は…。花粉をつけたほうは、めしべが茶色くなっています。皮をむいてみると、中の実が大きくなっていました。花粉をつけなかったほうは、めしべが白いままでのびていました。中の実を見ると小さいまま。大きくなっていません。ホナちゃんが育てたトウモロコシと同じでした。ということは、実ができるための決め手は…。