オープニングタイトル

みなし子の10さいの女の子メリーは、イギリスのおじさんの大きなお屋敷（やしき）に引（ひ）き取（と）られてきました。みんなにかわいげのない子だと言われ、メリーはここはいやなところだと思いました。メリーのお世話（せわ）係（がかり）になったマーサは、とてもやさしい娘（むすめ）でした。マーサはメリーに、弟（おとうと）は動物や小鳥と話ができること、お屋敷（やしき）には10年もかぎがかけられている庭（にわ）があることなどを話してくれました。

ある日、メリーはお屋敷（やしき）の小道（こみち）を歩（ある）いていました。メリーはコマドリに「わたし、お友だちがいないの」と話しかけました。すると、コマドリは土をつつき、さびたかぎをほり出しました。そのとき、風（かぜ）がふいて、目の前（まえ）にドアがあらわれました。メリーが、かぎをつかってドアの中に入ると、そこは、しずかで不思議（ふしぎ）な庭（にわ）でした。メリーは、その庭を自分（じぶん）だけの「ひみつの花園（はなぞの）」とよぶことにしました。そしてその庭にきれいな花をいっぱいさかせようとかんがえました。

その夜（よる）、マーサはメリーに話しました。あの庭（にわ）は、おく様（さま）とだんな様だけの庭でした。ところが10年前のある日、おく様が腰（こし）かけていた枝（えだ）がおれて、なくなってしまったのです。おく様のおなかの中にいた赤（あか）ちゃんは、ぶじにうまれました。しかし、それいらい、たんな様はその庭をきらい、かぎをかけてしまったのです。そのとき、どこかでなき声（ごえ）がしました。メリーは、そのなき声をおって、へやを出ていきました。

なき声（ごえ）は長（なが）いろうかのいちばん奥（おく）の部屋（へや）から聞こえきます。メリーがとびらをあけると、メリーのいとこのコリンという病気（びょうき）の男の子がいました。コリンは「みんなはコリンを部屋にとじこめて、死（し）ぬのをまっているんだ。お父さんなんか大きらいだ」となきます。でもメリーは「お父さんがいるだけいいじゃない」と言いました。メリーはコリンをじょうぶにしてあげたいと思いました。

次の朝（あさ）、メリーは外（そと）に出ました。そのとき、どこかでふえの音（おと）がしました。ふえをふいていたのは、ディッコンというマーサの弟（おとうと）でした。ディッコンがふえをふくと、動物（どうぶつ）だけでなく、草花（くさばな）も芽（め）を出すのだそうです。メリーとディッコンは、ふえをためしてみようと思い、ひみつの花園（はなぞの）へ行くことにしました。

それから二人は毎日（まいにち）ひみつの花園（はなぞの）に行っては大いそがし。土をほりかえしたり、種（たね）をまいたり、水（みず）をやったり…。やがて、春（はる）になりました。まるで死（し）んだようだった花園にたくさんの芽（め）がふき出し、たくさんの花がさきました。メリーとディッコンは、コリンの病気（びょうき）をなおすために、花園につれてこようとかんがえました。それを聞いたコリンは、うれしなみだをながし、美（うつく）しい花園に行ける日をそうぞうしました。

数日後（すうじつご）、ディッコンと動物（どうぶつ）たちがコリンの部屋（へや）にとうちゃくしました。子ヤギがミルクをもらうのを見て、コリンは今まできらいだったミルクをのみたくなりました。それからまもなく、コリンは車いすで花園（はなぞの）へ行くことができたのです。コリンは「ぼくだって、これからは花をさかせることができるんだね」とよろこびました。

そうして、ある日コリンは花園（はなぞの）の野原（のはら）にまっすぐに立てるようになりました。外国（かいがい）から帰って来たコリンのお父さんは、ひみつの花園でしんじられないものを見ました。「父さん、ぼくはこんなに元気（げんき）になったんだ」。コリンのお父さんは、よろこびにふるえる両手（りょうて）でコリンをだきしめました。